鏡リュウジさんからご恵贈いただいた『昼間のスターゲイザー-占いと心理学の対話』(集英社、2026)読了。
鏡リュウジさんと東畑開人さんの対談本。お二人の圧倒的な対話力に終始引き込まれました。
東畑さんの概念化は非常に的確で、何と言っても「問い」の立て方が素晴らしかった。一方の鏡さんには、まさにゲーテ的な類推的思考の豊かさがあり、言葉の選び方にも独特のセンスを感じました。
とくに面白かったのは、後半の二回です。以下、少しネタバレを含みます。
第三回の「象徴」をめぐる対話は、非常に興味深く拝読いたしました。私自身、つねづね授業の中で、象徴的思考こそ今後の人文学の可能性を開く鍵だと話しているのですが、この対談では、その象徴を考えるうえで重要な論点が、わかりやすく、かつ深みをもって論じられていました。
なかでも考えさせられたのは、占いの「大喜利」的性格です。「運命そのものを笑う」という境地。東畑さんがいみじくも述べられていたように、そこでは人間ではなく、世界の方が主人公になっている。この論点は、オイゲン・フィンクの世界遊戯論にも通じるものがあるように思いました。今回の対談を読んで、それをより身近な経験の相において捉え直すことができたように思います。
第四回は、「偶然性」をめぐる、いわば「占いの形而上学」として読むことができました。
東畑さんは、人が異なる物語を生き始めるときには、二つの因果関係を想像し、言語化するよりも先に、すでに何かが起こっているのだと述べておられます。まさに卓見だと思いました。
つづいて鏡さんがそれを「なんだかわからないけど今、新しい星がめぐってきているという直観」と表現。そして占いの「大喜利」的性格も、まさにこのあたりの問題とつながってくると。
このあたりのお二人のやりとりはなんとも絶妙でした。東畑さんの洞察が、出来事と言葉のあいだにある微細な位相を捉え、鏡さんの象徴的表現がそこに深みを与えていく。お二人の対話が、もっともよく響き合った箇所のひとつだったと思います。
本書は、占いについての本であると同時に、象徴、偶然、物語、そして人間と世界との関係について考えるための、たいへん豊かな対話の記録だと思いました。
ぜひ多くの方に読んでいただきたい一冊です。
#
鏡リュウジ# #
東畑開人# #
占い# #
心理学# #
昼間のスターゲイザー#