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ソク=ラテス
@busydess_ojisan
エセ哲学者
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「つらい経験をした人は優しくなれる」という言葉、半分は違うと思っている。 痛みそのものに、人を優しくする力なんてない。 傷ついた人が「自分もされたんだから」と他人を傷つけることもあるし、疑い深くなることも、冷たくなることもある。むしろそれは、人間としてかなり自然な反応だと思う。 だから、つらい経験をしたのに優しい人を見ると、その人の過去ではなく、その後にしてきた無数の選択を想像する。 「自分がされたから、他人にもしていい」ではなく、 「自分がされたから、他人にはしない」を選んできた。 裏切られたから疑う、ではなく、 裏切られる可能性を知った上で、それでも信じる余地を残してきた。 自分の痛みを、他人を傷つけるための免罪符にしなかった。 たぶん「痛みを引き受ける」って、そういうことなんだと思う。 過去を許すことでも、傷が消えることでもない。 自分が受けた傷を、自分のところで食い止めること。 考えてみれば、優しさって「傷ついたことがない人の無邪気さ」より、「人は残酷になれる」と知った人が、それでも残酷にならないと決め続けることの方に、より強く現れるのかもしれない。 だから本当に優しい人の優しさには、ときどき妙な重みがある。 世界を美しいと信じているから優しいんじゃない。 世界がそれほど美しくないことを知ったあとで、それでも自分まで世界を醜くする側には回らないと決めているから、優しいんだと思う。
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これ、フィクションに「正しい意思決定」だけを求め始めると、最終的に物語そのものが成立しなくなるんだよな。 「そこでちゃんと話し合えばいい」「そんな男とはすぐ別れればいい」「怪しい場所に行くな」「最初から本音を言え」 確かに全部その通り。でも人間がいつも合理的に動けるなら、そもそも大半の物語は始まらない。 面白い物語って、「何をするのが正しいか」ではなく、「正しいと分かっていて、なぜそれができなかったのか」を描いていることが多い。 愛しているから離れられない。プライドがあるから謝れない。怖いから確認できない。若いから取り返しのつかなさが分からない。過去の経験があるから間違った選択肢だけが正解に見える。 その人の置かれた状況や未熟さ、欲望、恐怖まで含めれば、その失敗にはその人なりの必然性がある。 だから登場人物の行動を「最適解との差分」だけで採点すると、一番おいしい部分が消えてしまう。 フィクションで見るべきなのは「なぜ正解を選ばなかったのか」であって、「正解を知っている自分の方が賢い」ではない。 人間の愚かさをノイズとして除去したら、残るのは物語じゃなくて攻略本なんよ。
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