映画アーカイブ『太陽の王子 #
ホルスの大冒険』#(1968)。高畑勲の長編演出(監督と同義)デビュー作。高畑の登板は作画監督・大塚康生の推挙による。
脚本・深沢一夫、演出・高畑勲、作画監督・大塚康生、場面設計・宮崎駿、美術・浦田又治、撮影・吉村次郎/片岡幸男、音楽・間宮芳生。他、関わった全ての力の結集による作品。その一端は没後に開かれた「高畑勲展」の圧巻の展示で示された。
私にとって『わんぱく王子の大蛇退治』と並ぶ東映長編の双璧。最も多感な時期のこの作品との出会いがなければ人生は全く違っていただろう。当時関わった方々が今も一貫して『太陽の王子』と呼ぶこの作品は日本のアニメーションの輝ける里程標。より高い年齢層を視野に入れた最初の作品であり、アニメーションで初めて人間の社会と営み、その心理を描くことに挑戦した作品。今当たり前に誰もがアニメ映画を見ている状況を作り出した最初の一歩。公開当時の大人たちには理解されなかった挑戦を受け取ったのは当時まだ若く発言の機会も力も無かった世代。やがて成長と共に真価は共有され今日へ続く。日本のアニメーションの変革者、それは高畑勲であり、エポックメイキングな作品は『ホルス』。
といっても『ホルス』は完全無欠な作品ではなく、意余って力及ばずの部分もミスもある。が、それらを越えて見る者に迫る強さと熱気がある。そして森康二の渾身の作画が魂を宿したヒルダの存在。その唄声は増田睦美。『ホルス』ではハンドトレスに代わって作画の線をそのままセルに写すゼロックスが使われ、高畑の「線」への拘りの出発点ともなった。技巧を凝らした撮影も称えたい。なお、公開当時の興行的失敗が言われるが現在それは資料からも否定されている。が、予算と納期の超過などから高畑が同社で長編を手がける機会は二度と訪れず後に新天地を求めて退社、新たな歴史を刻むこととなった。高畑監督が記された『#
ホルスの映像表現』#(徳間書店アニメージュ文庫)は作品研究だけでなく映像や創作を志す人の必携の書。