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ぶたまる@生技
@pokamaru3
自動車メーカーの生産技術者が「生産技術って何だっけ?」を自問自答しています。生産技術のココって大事だよねといった真面目な話から、メーカーの世知辛い日常ネタ、普段勉強してることを呟きます。 質問はDMか質問箱まで→
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ぶたまる@生技
@pokamaru3
2026.08.30 21:34
いいか、しんのすけ。 フィジカルAIの本質は、 ロボットを賢くすることではなく 『現象を理解すること』にあるんだぞ。 最近、展示会などでもフィジカルAIという言葉をよくみる。 各社の展示を見て多いのは、 カメラで認識して、AIで判断して、ロボットを動かすという構成にかなり寄っている印象だ。 もちろんこれもフィジカルAIの一つだとは思う。 しかし、ものづくりで本当に考えないといけないのは、その先だ。 設備では、 ①ソフト上の指令値 ②機械・電気による実際の動作 ③設備内部で起きる物理現象 ④設備によって対象物に起きる物理現象 ⑤最終的な製品品質 という繋がりが時系列としてあるな。 そしてAIを使って、この一連を予測したり制御したりしようとすると、 ・どんな現象が起きているのか ・その現象の理論式は ・何を変えると、その現象がどう変わるのか ・どの現象を観測すべきか、できるのか ・直接測れないなら間接的に何を観測すべきか ・そのモニタリングにリアルタイム性はあるのか ・再現性を持ってモニタリングできるのか という、そもそもの工学の問題に戻ってくるんだ。 実際のところ、設備の中で起きている物理現象を完全に理解して使っているわけではない。 なかには研究レベルで実は分かってないこともあるくらいだ。 「この条件ならN増しても結果OK」 「○回使ったら交換」 「1日1回確認」 「ロットごとに抜き取り検査」 といった経験則や時間・回数・結果の管理によって、実際の現象を確認、検証しながら量産を成立させているものがほとんどだ。 それで十分だったわけだ。 しかし、AIによって、 対象をモニタリングして、状態の変化を把握して、 予測し、判断し、制御する。 という実機実物に対する情報の使われ方が変化した今、「そこまで分からなくても設備は動く」とブラックボックスにしていた現象を、もう一度開けて理解する価値が出きたんだ。 ゲームでいうと、ボスを倒しストーリが一旦終わったと思って最初のダンジョンに戻ったら、敵が強くなっていたり、昔は通れなかった通路が開放されていたりする感じに少し似ていると思う。 AIという新しいベースの上で昔はあまり重要視されなかった『機械現象の理解』に対する価値が変わったんだ。 だからこそ、フィジカルAIが進むほど、 AIだけを見るのではなく、 機械、電気、制御、計測、材料、物理現象、原理をもう一度、根本から振り返る必要があるんじゃないかと感じるんだ。 ビジョンの実用性が高まり普及してきたことでAIとの親和性が目立っていることで、今は『フィジカルAI=カメラ+AI+ロボット』に寄って見える。 しかし、工場で品質に影響をおよぼす現象には、 力、摩擦、振動、温度、電流、圧力、変形、摩耗など、カメラには直接見えないものが山ほどあるんだ。 フィジカルAIとは、 新しい技術を設備に追加する話であると同時に、 『この設備で起こってる現象を自分たちは理解しているのか』と、 今まで当たり前としてきたものを、 今一度振り返るところから始まる技術なんだぞ。
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ぶたまる@生技
@pokamaru3
2026.08.27 12:23
図の波形はバネ座がある場合の認識で、 平座のみのボルト締結の難易度は異常。 クッションがなくなることで波形がインパルス的になってしまうことが主要因なのだけど、 地震もP波による初期微動を感知できるから、 緊急地震速報が役立つのと同じ。 もはやバネ座は自動化用部品にしていいレベル。 というのを理解せず「バネ座は意味ない!」とかでVE案ノルマ目当てに部品削除の設変して、大炎上した記憶が蘇りました。
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ぶたまる@生技
@pokamaru3
2026.08.17 04:34
仕事の楽しさの一つに『会社のお金で投資する』というのがあると思ってます。 こと生産技術において、 設備に投資できる額が多ければ多いほど、 ・規模、範囲が大きい ・高難易度 ・高機能、多機能 ・レア工法 に関わる経験を多くできるといっても過言ではありません。 実際、自動車業界の投資額の大きさが、私の転職理由の主なところになってたりもします。 お金がないことで、工夫する楽しさというのももちろんあるのですが、経験則としてはお金で解決できることを工数かけて達成したところで、結局スケールしない個別最適にしかなりません。 数百万円の設備を作るのと、数億円の設備を作るでは専門的な分野のみでなく、関わる人の多さといった意味でも良い経験になります。 何をできるか、何をやらさせてもらえるかより、 どのくらいの規模の投資をさせてもらえるのかを基準に納得して転職してる友人は満足してる人が多い印象です。
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ぶたまる@生技
@pokamaru3
2026.08.08 07:17
オライリー・ジャパン出版 小美濃 芳喜 著『量産入門』 今まで読んだ中で、間違いなくトップに来る本でした。 生技は良くも悪くも、最初からある程度の『量産の考え方』を土台とした環境の中で仕事をしています。 その事業が個産であっても、 少量多品種であっても、 大量生産であっても、 程度の差はあっても、あまり変わりません。 だからこそ、その環境を『当たり前のもの』として捉えてしまい、そもそも量産のどこに難しさがあるのかを理解しにくい場面が多々あります。 結果、なぜそうなっているのかを理解しないまま慣例を踏襲し、なかなか改善が進まないという問題を抱えていたりします。 -- この本を見たとき、『量産』というある意味一般的な言葉を、専門外の人にどう表現するのだろうかという興味から手に取ったのですが、本書はむしろ本業の人こそ読んで損がないものだと思いました。 ・ものづくりは、必ずしも完全な新規生産品から始まるわけではなく、流用品から始まる場合もある ・企画・構想・販売台数・原価といった、ビジネスとしての根底にある考え方 ・金型をベースにした投資と償却という視点 ・さらに調達、サプライヤー、海外拠点での試行錯誤 など 普段の仕事では、自分の担当する「生産」を理解するだけでも、それなりの経験年数が必要です。 そこに上流の製品企画や設計、調達、サプライヤー、さらには事業としての採算まで絡めて『量産が成立するまで』を体系的な流れとして理解する機会や、手段すらそうそうありません。 この本は、個々の技術を実務的に知れること以上に、自分が普段担当している仕事が『量産という巨大な仕組みの中で、どこに位置しているのか』を俯瞰できることに実用性があると思います。 SCM、DCMなんじゃそりゃという人も、一度この本を読んでから個別の専門知識を学ぶと、理解度が段違いになるのではと思うほど良い本でした。 専門外の人に『量産とは何か』を説明する本だと思って手に取りましたが、むしろ『量産を知っているつもりになっている本職』が読む本なのかもしれません。
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