子どもが生まれた瞬間、世界が、赤ちゃんとふたりぶんのサイズまで小さくなる。あのやわらかい時間を知っている人が描いた絵だと思うんです。
画面のほとんどが、真っ白なシーツ。
よく見ないと、どこに人がいるのか分かりません。
そのまっしろの海から、頭がふたつだけ出ています。お母さんと、生まれたばかりの赤ちゃん。描いたのはスペインのソローリャで、モデルは奥さんと、その日生まれた自分の子どもです。
おもしろいのは、最初の構想だと奥さんはこちらを見ていたらしいこと。 でも完成版では、視線をずらして、赤ん坊だけを見ている。
私も子どもが生まれてしばらく、白い部屋で過ごした時間を、この絵を見るたび思い出します。世界が、病室の中だけになる、あの感じ。ソローリャは、奥さんの目をこちらからそらしただけで、それを全部描いてしまったんですよね。すごいな、と思います。
🖼 ホアキン・ソローリャ《母》1895–1900年、カンヴァスに油彩、ソローリャ美術館(マドリード)所蔵
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りんの鑑賞ノート#