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フェンリル編 第36話
「狼のいる日常 ― 秋のツーリング」 🐺🏍️🍂
⚠️物語はフィクションです。
■ BikeShop誉🛵
卒業検定の翌日。
カチャ……
カチャ……
店の奥から、
工具の音が聞こえる。
店先には白いSuper Cub 110。
フェンリルが、自分で選んだ一台だ。
■ 店長
「お。」
「どうだった?」
■ フェンリル🐺
「卒業検定に合格した。」
■ 店長
「そうか。」
「おめでとう。」😊👍
■ フェンリル🐺
「基準を満たしただけだ。」
■ 路地猫😸
「コイツ。」
「昨日からずっと、
それ言ってんだよ(笑)」
店長が笑う。
■ 店長
「で。」
「一本橋は?」
■ フェンリル🐺
「もう一度走りたい。」
■ 店長
「十分だ(笑)」
フェンリルは店先のCubを見る。
まだ、このバイクで、
公道を走ったことはない。
■ フェンリル🐺
「免許証を取得へ行く。」
「これで剣山へ行ける。」
■ 路地猫😸
「だから、いきなり行かねぇって。」
■ フェンリル🐺
「走破可能だ。」
■ 店長
「そういうところだな(笑)」
店長が。
壁を指差した。
■ 店長
「ちょうどいい。」
「その前にこれ、行ってみるか?」
「腕慣らしだ。」😁
一枚のポスター。
🍂 BikeShop誉 秋のツーリング 🏍️
六甲山麓 ~ 有馬温泉
初心者歓迎
小排気量車歓迎
日帰り
雨天中止
■ フェンリル🐺
「集団走行訓練?」
■ 路地猫😸
「ツーリングだよ!」😹
■ 店長
「3日後の今度の日曜。」
「六甲の北側を回って。」
「有馬まで行く。」
フェンリルが。
ポスターを見る。
■ フェンリル🐺
「目的地までの。」
「最短経路を検索する。」
■ 店長
「いや。」
「最短で行かなくていい。」(笑)
■ フェンリル🐺
「なぜ?」
■ 店長
「六甲は二輪の通行規制が。」
「結構ややこしいんだ。」
「道路によっては。」
「二輪が通れなかったり。」
「125cc以下では通れない道もある。」
■ フェンリル🐺
「俺のCubなら。」
「物理的には走行可能だ。」
■ 路地猫😸
「物理の話じゃねぇよ(笑)」
■ 店長
「走れることと。」
「走っていいことは別だ。」
フェンリルが少し黙る。
教習所で聞いた言葉に少し似ていた。
運転できることと。
公道を走れることは別。
■ フェンリル🐺
「理解した。」
「規制を避けて。」
「走行可能な経路を選択する。」
■ 店長
「そういうこと。」
「でも、今回の目的は。」
「有馬へ最短で着くことじゃない。」🚬
■ フェンリル🐺
「では。」
「目的は?」
■ 店長
「走る。」
「景色を見る。」
「途中で休む。」
「有馬に着いたら。」
「バイクを停め、温泉街を歩く。」
「足湯に入って。」
「炭酸せんべいでも食う。」
■ フェンリル🐺
「…………。」
■ 店長
「どうした?」
■ フェンリル🐺
「走行以外の工程が多い。」
■ 路地猫😸
「それもツーリングだよ。」
■ フェンリル🐺
「それも?」
■ 路地猫😸
「走って。」
「止まって。」
「飯食って。」
「景色見て。」
「くだらねぇ話して。」
「また走る。」
「剣山行くだけが。」
「ツーリングじゃねぇよ。」
フェンリルは。
もう一度、ポスターを見る。
秋のツーリング。
目的地。
有馬温泉。
任務――
なし。
戦略的価値――
なし。
■ フェンリル🐺
「参加条件は?」
■ 店長
「免許とバイク。」🛵
■ フェンリル🐺
「取得する。」
「明日には免許センターだ。」
■ 店長
「バイク。」
フェンリルは。
白いCubを見る。
■ フェンリル🐺
「ある。」
■ 店長
「あと一つ。」
■ フェンリル🐺
「何だ?」
■ 店長
「楽しむこと。」
■ フェンリル🐺
「…………。」
■ 路地猫😸
「お前。」
「それだけまだ。」
「判定できねぇもんな(笑)」
フェンリルは。
少し考えた。
■ フェンリル🐺
「だから、参加して確かめる。」
店長が笑った。
■ 店長
「よし。」
「2名追加だ。」
店の壁には。
ツーリングの参加表。
店長が一番下へ名前を書き加える。
フェンリルと路地猫
Super Cub 110と
SuperCub 72。
フェンリルは、その文字を見る。
かつて彼の名前が載る名簿は、
出撃記録だった。
作戦記録だった。
兵器管理記録だった。
だが、今度は違う。
町のバイク屋が企画した、
秋の日帰りツーリング。
世界を救う必要はない。
敵もいない。
命令もない。
それでもフェンリルは、
自分で参加すると決めた。
■ 路地猫😸
「その前に。」
「もう一つ。」
■ フェンリル🐺
「?」
路地猫が。
フェンリルの頭を見る。
■ 路地猫😸
「お前。」
「ヘルメットどうすんだ?」
■ フェンリル🐺
「…………。」
つづく 🐺🏍️🍂
次回
フェンリル編 第37話
「狼のいる日常 ― 自分のヘルメット」 🐺⛑️
防御性能だけなら。
必要ない。
それでも。
公道を走るなら。
次に選ぶのは――
自分のヘルメット。