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中井 圭
@nakaikei
映画解説者。「映画の天才」「偶然の学校」代表。「文藝別冊 クリストファー・ノーラン 増補新版」「スティーヴン・スピルバーグ 映画の子」「森田芳光全映画」「観ずに死ねるか」など。各種媒体に映画評寄稿のほか、映画イベント登壇、審査も担当。日本酒、台湾、温泉、鮨、旅が好き。 nakaikei.work@gmail.com
가입 October 2009
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松岡茉優主演『男ともだち』(11/6公開)を観た。仲は良いが学生時代から一線を越えず、適度な距離を保ったまま続いてきた、男ともだちとの関係。その居心地のよい均衡が、過去の傷の再燃、仕事のなかで失われていく自分らしさ、パートナーとの冷えた関係によって、少しずつ揺らいでいく。 「恋愛関係に陥らない男女の友情」という、我々の興味を引くポップな入口から、次第に滲み出してくるのは、他者との関係性の、そして己の業だ。京都、富山、広島という3つの土地、3つの夜。そのくすんだ光のなかで、関係の曖昧さを鋭く掬い取る三島有紀子監督の演出は、やはり見事。 かつては強烈な個性を放っていたものの、依頼に応え続けるうちに器用貧乏化していく売れっ子イラストレーター・神名を演じた松岡茉優。彼女の緻密に制御された表現と、そこから逸脱して一歩を踏み出そうとする衝動が本作で重なり、神名という人物の揺らぎになる。神名の男ともだちであるハセオを演じる成田凌は、軽妙で絶妙なつかみどころのなさの奥に、深い優しさと静かなかなしみを漂わせ、その揺れを受け止める。ふたりの演技の距離感が、この作品を成立させている。 ふたりが出会ったのは、大学の映画サークル。劇中で引用されるカサヴェテスの『こわれゆく女』なども、映画ファンへの単なる目配せにとどまらない。そこに浮かぶのは、人は相手に役割を与えずに親密でいられるのか、相手を自分の人生の物語に回収せず、それでも失いたくないと思えるのか、という問いだ。その引用は、本作の奥にあるものを静かに照らし、気がつけば観客を、自身がこれまで築いてきた関係と対峙させる。良作。
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