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栖来(すみき)ひかり『台湾りずむー暮らしを旅する二十四節気』『日台万華鏡-台湾と日本のあいだで考えた
@rorarininyo
文筆家,道草者。 著書:『時をかける台湾Y字路』『台湾と山口をつなぐ旅』『日台万華鏡ー台湾と日本のあいだで考えた』『台湾りずむー暮らしを旅する二十四節気』 ig: FB:
가입 March 2010
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蔡英文前総統が原住民族の日に謝罪した、演説を日本語訳しました。 台湾でどうして先住民が「原住民族」と呼ばれるようになったのか。なぜこんなにも繰り返して何度も、謝らなければならないのか? ここには日本も関係しています。 長いですが、よろしければ是非お読みください。 #移行期正義# ーーーーーーー 二十二年前の今日、憲法の追加修正条文における「山胞(山地同胞)」という名称が、正式に「原住民」へと改められました。この名称の変更は、長年にわたって使われてきた差別的な呼称をなくしたというだけでなく、原住民族が台湾の「本来の主人」であるという地位を明確に示すものでした。 そこに立ち戻りつつ今日、私たちはさらに一歩、前へ進まねばなりません。私は政府を代表し、すべての原住民族の皆さんに、心から深い謝罪の意を表します。この四百年間、皆さんが被ってきた苦痛と不公平な扱いについて、政府を代表してお詫び申し上げます。 今日に至っても、私たちの身近には、謝罪する必要などないと考えている人がいるでしょう。 しかし、それこそが今日、私が政府を代表して謝罪しなければならない最も重要な理由です。過去のさまざまな不公平を当然のこととして受け止め、あるいは他の民族集団が被った苦しみを、人類の発展にともなう必然的な結果であったとみなすこと。 それこそが今日、私たちがここに立ち、まず変え、正そうとしている考え方なのです。 なぜ原住民族に謝罪しなければならないのか、簡単な言葉で説明したいと思います。 台湾のこの土地には、四百年以上前から人びとが暮らしていました。その人びとは、自分たちの生活を営み、固有の言語、文化、習慣、生活領域を持っていました。 しかし、その人びとの同意を得ることなく、後から別の集団がこの土地へやってきました。 歴史のなかで、後から来た集団は、もともと暮らしていた人びとのあらゆるものを奪いました。最も慣れ親しんだ土地から追い立て、その土地にいながら異郷の人とし、非主流の存在とし、社会の周縁へと追いやったのです。 ある民族集団の成功は、別の民族集団の苦難の上に築かれていることがあります。私たちが自らを正義ある国家だと名乗るのであれば、この歴史を直視し、真実を語らなければなりません。そして何より、政府がこの過去を誠実に反省せねばなりません。それが今日、私がここに立っている理由です。 『台湾通史』という書物があります。その序文の冒頭には、次のように書かれています。 「台湾には、もとより歴史がなかった。オランダ人がこれを開き、鄭氏がこれを興し、清朝がこれを経営した」 これは、典型的な漢人中心の歴史観です。 原住民族は数千年も前からこの土地で暮らし、豊かな文化と知恵を世代から世代へと伝えてきました。にもかかわらず、私たちは強い立場にある民族の視点からしか歴史を書いてきませんでした。 このことについて、私は政府を代表し、原住民族の皆さんにお詫び申し上げます。 オランダおよび鄭成功政権による平埔原住民への殺害と経済的搾取、 清朝時代の大規模な流血をともなう衝突と弾圧、 日本統治時代に全面的かつ深く推し進められた理蕃政策、 そして戦後、中華民国政府によって行われた山地平地化政策。 四百年間、台湾にやってきたすべての政権は、武力による征服や土地の略奪を通じて原住民族がもともと持っていた権利を深く侵害してきました。 このことについて、私は政府を代表し、原住民族の皆さんにお詫び申し上げます。 原住民族は、伝統的な慣習によって部落の秩序を維持し、伝統的な知恵によって生態系の均衡を保ってきました。 しかし、近代国家の体制が築かれていくなかで、原住民族は自らに関わる事柄を自ら決定し、自治する権利を失いました。伝統的な社会組織は解体され、民族としての集団的権利も認められませんでした。 このことについて、私は政府を代表し、原住民族の皆さんにお詫び申し上げます。 原住民族には、本来それぞれの母語がありました。しかし、日本統治時代の同化政策と皇民化政策、そして一九四五年以降、政府が民族語の使用を禁じたことによって、原住民族の言語は著しく失われました。 平埔原住民の言語の大部分は、すでに消滅しています。歴代の政府は、原住民族の伝統文化を守るための努力を十分に行ってきませんでした。 このことについて、私は政府を代表し、原住民族の皆さんにお詫び申し上げます。 かつて政府は、原住民族ヤミ(タオ)の人びとが事情を知らないまま、蘭嶼に核廃棄物を貯蔵しました。 蘭嶼の人びとは、核廃棄物による被害を受けてきました。 このことについて、私は政府を代表し、ヤミの皆さんにお詫び申し上げます。 外来者が台湾に入ってくるようになって以来、西部平原に暮らしていた平埔原住民族は、真っ先にその影響を受けました。歴代の統治者は、平埔原住民族の人びとから、個人としての身分と民族としてのアイデンティティを消し去ってきました。 このことについても、私は政府を代表し、平埔原住民族の皆さんにお詫び申し上げます。 民主化後、国家は原住民族運動の要求に応えようとしてきました。政府はいくつかの約束をし、一定の努力も重ねてきました。 現在、台湾には比較的先進的な「原住民族基本法」があります。しかし、この法律は、政府機関全体から十分に重視されているとはいえません。私たちの対応は遅く、包括性を欠き、不十分なものでした。 このことについて、私は政府を代表し、原住民族の皆さんにお詫び申し上げます。 台湾は「多文化社会」を標榜しています。 しかし今日に至っても、健康、教育、経済生活、政治参加をはじめ、多くの面で原住民族と非原住民族のあいだには格差があります。同時に、原住民族に対する固定観念や、さらには差別も、いまだになくなっていません。政府の取り組みが十分でなかったため、原住民族の皆さんは、他の民族集団が経験したことも、感じたこともない苦痛と挫折を被ってきました。 このことについて、私は政府を代表し、原住民族の皆さんにお詫び申し上げます。 私たちの努力は十分ではありませんでした。そればかりか、世代を重ねてもなお、私たちはその努力が不十分であることに早く気づくことができませんでした。そのため、皆さんの苦しみは今日まで続いてきました。 本当に申し訳ありません。 今日の謝罪は、あまりにも遅いものとなりました。 しかし、これは始まりです。 四百年にわたって原住民族が被ってきた苦難や傷が、一篇の文章や一言の謝罪によって消えるとは思っていません。 それでも私は、今日の謝罪が、この国に暮らすすべての人びとが和解へと歩み始める、その出発点となることを心から願っています。 今日のこの場について、原住民族の知恵を借りて説明させてください。 原住民族タイヤルの言葉では、「真実」を「Balay」といいます。そして「和解」は「Sbalay」といいます。 つまり、Balayの前にSの音を加えた言葉です。 真実と和解とは、実際には互いに深く関係する二つの概念です。言い換えてみれば、真の和解は、真実に誠実に向き合うことによってのみ、実現する可能性が生まれるのです。 原住民族の文化では、部落のなかで誰かが他者を傷つけ、和解を望む場合、長老が加害者と被害者を同じ場所に集めます。 しかし、集まってすぐに謝罪を求めるわけではありません。まず、一人ひとりが自分の心の歩みを、率直に語ります。そうして真実を語る過程が終わった後、長老は皆に一緒に一杯の飲み物を飲ませ、過ぎ去ったことを、本当に過去のものとします。 これがSbalayです。 私は、今日のこの場が、政府と原住民族とのあいだのSbalayとなることを願っています。 私は過去の過ちと過去の真実を、できる限り、何一つ隠すことなく語ります。この後、原住民族の皆さんも、自らの思いを語ってくださるでしょう。 私は、皆さんに今すぐ許してほしいと求めることはできません。しかし、どうか希望を持ち続けていただきたいと、心からお願いしたいと思います。 過去の過ちを二度と繰り返さず、この国がいつの日か、真の和解へと向かうことができるようにするためです。 今日のこのときは、始まりにすぎません。 和解が実現するかどうかの責任は、原住民族や平埔原住民族の側にあるのではなく、政府の側にあります。口頭で謝罪するだけでは不十分であることを、私はよく理解しています。これから原住民族のために何を行うのか。 それこそが、この国が本当に和解できるかどうかを決める鍵となります。 ここで正式に発表します。総統府に「原住民族歴史正義・移行期正義委員会」を設置します。 私は国家元首として、自ら委員会の招集人を務め、各民族の代表とともに歴史的正義を追求します。また、対等な立場で、今後の国家政策の方向性について協議します。 総統府の委員会が何よりも重視するのは、国家と原住民族との対等な関係です。平埔原住民族を含む各民族の代表は、それぞれの民族と部落の合意に基づいて選ばれます。この仕組みは、原住民族が集団として意思決定するための制度となり、民族の人びとの声を真に伝えるものとなります。 また行政院に対し、「原住民族基本法推進会議」を定期的に開催するよう求めます。委員会で形成された政策上の合意については、今後、政府が行政院のレベルで調整し、関連する事務を処理していきます。 その対象には、歴史的記憶の探求、原住民族自治の推進、経済的な公正の実現、教育と文化の継承、健康の保障、都市に暮らす原住民族の権利擁護などが含まれます。 現代の法律と原住民族の伝統文化とのあいだには、相容れない部分があります。そのため、文化的感受性を備えた「原住民族法律サービスセンター」を設置します。制度的な仕組みを通して、原住民族の伝統的慣習と、現行の国家法規とのあいだで増え続けている衝突を緩和していきます。 関係部門に対しては、原住民族が伝統的な慣習に基づき、伝統領域内で、売買を目的とせず、保護対象ではない動物を狩猟したことによって、起訴され、有罪判決を受けた事例を、直ちに整理するよう求めます。 そして、これらの事例を解決するための方策を検討します。 また、蘭嶼に核廃棄物を貯蔵することが決定された経緯について、関係部門に真相調査報告書を提出するよう求めます。核廃棄物の最終処分が実現するまで、ヤミの人びとに適切な補償を行います。 同時に、平埔原住民族の自己認識を尊重し、その身分を承認するという原則に立ち、九月三十日までに関連法規を見直し、平埔族が本来持つべき権利と地位を得られるようにします。 今年十一月一日から、原住民族の伝統領域の土地について、境界の設定と公告を開始します。部落公法人制度については、すでに実施に向けた取り組みを始めています。そして今後、原住民族自治の理念を一歩ずつ実現していきます。 また、原住民族が最も重視している「原住民族自治法」「原住民族土地・海域法」「原住民族言語発展法」などの法案について、立法院への提出を急ぎ、審議を求めます。 本日の午後には、全国原住民族行政会議を開催します。会議では、政府がさらに詳しく政策を説明します。今後、毎年八月一日に、行政院は全国民に対して、原住民族の歴史的正義と移行期正義の実施状況を報告します。 原住民族の歴史的正義を実現し、原住民族自治の基礎を築くことは、政府の原住民族政策における三大目標です。 ここにお集まりの皆さん、そしてテレビやインターネット中継をご覧になっているすべての原住民族の皆さんに、証人となっていただきたいと思います。 皆さんにお願いしたいのは、政府の政策にお墨付きを与えることではなく、政府を監督することです。 原住民族の皆さんには、厳しく政府を鞭撻し、意見を述べていただきたいと思います。政府が約束を実現し、過去の過ちを真に正すことができるよう、力を貸してください。 すべての原住民族の皆さんに感謝します。皆さんは、この国のすべての人びとに、私たちが足をつけている土地と、古くから受け継がれてきた伝統には、何ものにも代えがたい価値があることを教えてくれました。 その価値には、ふさわしい尊厳が与えられなければなりません。 これから私たちは、政策を推進することによって、次の世代の原住民族も、その先の世代の原住民族も、そして台湾のこの土地に暮らすすべての民族集団も、二度と言葉を失わず、記憶を失わず、自らの文化的伝統から引き離されず、自分たちの土地の上でさまよい続けることのない社会を築きます。 社会全体に、ともに努力することを求めます。私たちの歴史を知り、私たちの土地を知り、異なる民族集団の文化を知ることです。 和解へ、共存と共栄へ、そして台湾の新しい未来へと歩んでいきましょう。 今日という機会を通して、すべての国民に呼びかけます。正義ある国家、真に多元的で平等な国家を築くために、ともに努力していきましょう。 #蔡英文# #移行期正義#
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