🧩HBMの壁は段数から、GPUと話す数ミリ角の温度へ移った | SamsungもSK hynixも次に足すのは冷やす構造だ 005930.KS 000660.KS
8月23日にStanfordで開幕したHot Chips 2026は、初日をチュートリアルに充てている。その一枠がメモリで、Micron、Samsung、SK hynixが順に登壇した。SamsungとSK hynixが次の世代に足すと説明したのは、容量でも帯域でもない。同じ数ミリ角を冷やすためだけの構造だった。
その数ミリ角をダイ間PHYと呼ぶ。HBMの一番下に敷くベースダイの上にあり、積み上げたDRAMとGPUの間で信号をやり取りする回路のことだ。標準的なHBMではこのPHYがベースダイの中で最大のブロックになる、とSamsungは説明した。
Samsungが示した設計は、そこを縮める。従来のHBM PHYを先端ロジックで作るダイ間インターフェースへ置き換えると、面積が縮み、信号の通り道が短くなり、1ビットあたりのエネルギーが下がる。空いたシリコンはGPU側の面積へ回せる。メモリを売る会社が、計算する側の陣地を広げる提案をしている。
代償は同じ資料に書いてある。通り道を短くすればエネルギーは下がるが、小さくなったPHYへ同じ電力を詰めれば電力密度が上がり、そこがホットスポットになる。SamsungはsHBM4EからsHBM5へ向かう区間でI/O速度がおよそ倍になり、電力密度が0.5W/mm²から2.0W/mm²超へ上がる数字を置いた。面積を稼ぐ動きが、自分で熱を作っている。
その熱を運び出すのがHeat Path Blockだ。ベースダイのダイ間PHYに専用の熱の通り道を作る構造で、PHYの被覆率を5割超まで上げるとピーク温度が35%超下がるという。Samsungはこれを現在HBM4Eで検証しており、採用はHBM5世代からと置いている。
SK hynixが同じ日に説明したi-HBMも、置く場所は同じだ。熱が最も集中するダイ間PHYの領域へ、電気を通さず熱をよく通すシリコン系の部材を直接埋め込み、コアダイ越しに逃がす従来の経路とは別の放熱路を作る。熱抵抗の低減幅は30%。搭載はHBM5を含む次世代からになる。名前も構造も違うが、狙う一点と入れる世代は同じだ。
段数の議論は、この熱の議論に吸収されつつある。SK hynixのHBM4は48GBで、12段が量産、16段が認定中だ。HBM3Eで16段を組んだとき、同社は同じ高さの枠に2段を足すため、チップの厚みも隙間も接合部の間隔もおおむね半分にした。20段以上へ向かえば熱管理が拘束条件になる、と講演では言い切っている。同じ枠で先に話したMicronは、演算性能が2年で3倍伸びる一方でHBMの帯域は2倍に届かないと示し、その差を埋める作業がいま熱と実装の問題になっていると並べた。
この二社の損益は、いまメモリが決めている。SamsungのQ2連結営業利益は89.5兆ウォン、そのうち89.2兆ウォンが半導体のDS部門から出た。SK hynixは同じ四半期に売上79兆3,187億ウォン、営業利益60兆5,426億ウォンで、営業利益率76%。段数を伸ばせるかどうかは、この数字の続きにそのまま効いてくる。
HBMの優劣は、長いあいだ段数で語られてきた。次の世代でそれを決めるのは、GPUと話す数ミリ角が何度まで耐えるかになる。HBM5の仕様が並ぶとき、容量と帯域の下に熱の構造が載っているかを見ればいい。そこに書ける会社だけが、20段の話を続けられる。
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