元警察官として言う。
取調室で20年、人を見てきた。
そこで気づいた、組織の残酷な法則を一つ教える。
人を見る目は、出世すると死ぬ。
現場の叩き上げは、すごいぞ。
雑談ひとつで嘘を見抜く。
相手と同じ目線に座る。押さえつけない。
悪さした人間にだ。
そうしないと、本音は出てこないからな。
ところが、だ。
こいつが昇進する。階級が上がる。
すると、あれだけ冴えてた勘が、年々鈍っていく。
なんでだ?
答えは単純。
偉くなると、人の心を読む必要が消える。
命令すれば、部下は従う。
逆らえば、潰せる。
相手の本音なんか、もうどうでもいい。
だから、読む筋肉が衰えていく。
権威ってのは、麻薬だ。気持ちいい。
そして、人の目を曇らせる。
正直に言う。俺だって、若い頃にあの椅子に座ってたら、同じように腐ってたかもしれん。
偉そうにしてる自分を、想像できてしまう。
だから、奴らを心の底から軽蔑はできない。
これは、人間の構造の問題。
で、ここからがお前の話だ。
お前の会社の役職者を、思い浮かべろ。
偉くなった瞬間、現場が見えなくなった上司。
部下の気持ちを、もう想像すらしない上司。いるだろ?
あれは、性格が悪いんじゃない。
権威に、目を喰われただけだ。
いいか。怖いのはここからだ。
その椅子は、いつかお前にも回ってくる。
その時、お前は、鈍らずにいられるか?
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