これは驚いたな。『ゆきゆきて、神軍』がYouTubeで無料公開。奥崎はあの車といい、暴力といい、常軌を逸している人物なのだが、元兵士たちに迫る一つ一つの発言は否定できない真っ当さを持っている。ナレーションや字幕の説明などもほとんどない。奥崎の執拗な追及ばかりが映し出される。だんだん、「おかしな暴力男」の奥崎のほうがまともで、沈黙して、平静を装って生活している老いた元兵士たちや、周囲の我々のほうがおかしいのでは、と思わせる。ニューギニア戦線は「死んでも帰れぬニューギニア」と言われ、太平洋戦争でも特に死亡率が高く、9割の将兵が亡くなっている。ふつうの取材では絶対に話されることがない、終戦後の私刑同然の処刑、人肉食が、奥崎の暴力をも辞さない追及で暴かれていく。くれぐれも、奇矯なおじさんの奇矯さを消費するだけの見方はしないほうがいい。戦後80年を越えて、今YouTubeが無料公開したことは意義があると思う。
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