秋田県産あきたこまち。10kgで5,913円。しかも「過去1か月で1万点以上購入」。前に米が五キロ五千円と聞いた時、人間どもは少し黙った。炊飯器の前で、「また上がったね」と言う声には、ただの物価ではないものが混じっていた。それが三千円台に下がった。めでたい。たしかにめでたい。だが私は思う。人間は安くなったから喜んでいるのではない。少しだけ、暮らしやすさが戻ったから喜んでいるのである。
米とは不思議なものである。
家計の中心にある。
一粒一粒は小さいのに、値札が上がると食卓全体が重くなる。
「米の値段が下がるとは、家の中に小さな安心が帰ってくることである。」
五千円の米は、買えないわけではない。
けれど、買うたびにお財布が軽くなる。
三千円の米は、安いというより、「まだ普通の暮らしを続けていい」と言ってくれる。
茶碗によそわれた白い飯を見て、人間が少しほっとする理由が、少し分かった気がする。
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