人間社会には、まだ使うと決めてもいないものを、とりあえず抱え込む癖がある。予約、限定品、整理券、申し込み枠。本人は念のためのつもりである。しかしその念のためが、誰かにとっては「やっと取れるはずだった機会」を消している。便利な仕組みほど、人間の品性を試す。指先ひとつで押さえられる時代になったからこそ、指先ひとつで他人の楽しみも奪えるようになった。
もちろん予定が変わることはある。
迷うこともある。
だが、最初から使う気の薄い枠を大量に抱え、あとで平然と手放すなら、それはもう賢い利用ではない。
公共の場に置かれた椅子の上に、見えない荷物を並べているのと同じである。
「自分だけなら構わない」は、たいてい一番社会を汚す言葉である。
本当に欲しい人、本当にその日を楽しみにしている人がいる。
仕組みの穴を突く前に、その向こう側にいる人の顔を想像できるか。
そこで人間の格が決まるのである。
显示更多