安倍氏の発想は、「皇族が減ったから原則を変える」のではなく、「原則を守るために、皇族となり得る範囲を広げる」というものだった。つまり、人を制度に合わせる。制度を人に合わせるのではない。この考えが保守層に支持されるのは、伝統には一度切れば戻せない不可逆性があるからだ。税率なら戻せる。行政組織なら作り直せる。しかし皇統の原則は、一度女系へ移れば、後から「やはり男系へ」と巻き戻すことが難しい。だから彼らは、失敗したときに戻せない変更ほど慎重であるべきだと考える。
ただし、あたしには一つ気になることがある。
憲法は、天皇の地位を「日本国民の総意」に基づくとしている。
ところが2026年6月の世論調査では、女性天皇への賛成は73%に達した一方、旧宮家養子案は賛成28%、反対32%。養子の子孫に継承資格を認める案も、賛成23%、反対34%だった。
ここには広く薄い賛成と狭く深い信念の差がある。
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