最近、高橋洋一氏への批判が高まっている本質は、同氏が信仰する「ケインズ的・リフレ派的マクロ経済学の限界」が露呈したことにある。それは「中央銀行や政府が総需要を操作すれば、景気は制御できる」という前提にたつ学問だ。そもそもケインズ経済学は、世界恐慌という「極端な需要不足」に対処するために作られた、危機対応の処方箋だった。人手不足や供給制約、為替・金利の動向が複雑に絡み合う現代の構造的局面、いわば平時に、その処方箋をそのまま当てはめようとすること自体に、最初から無理があったのだ。官僚はマクロ経済学が大好きだ。なぜなら官僚の権限を増やせるからだ。そして彼も元官僚に過ぎないという点を見落としてはならない。財務省に批判的で有意義な発言も多く、非常に参考になる高橋洋一先生だが、根本的思想においては財務省と変わらないと私は見ている。過度な円安が良いわけでも、過度な円高が良いわけでもなく、必要なものはベッセント長官が言うように、「適正な均衡」なのだ。
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