きのう埼京線の電車に乗ったら、赤ちゃんを抱っこしたお母さんと5、6歳の女の子が立っていました。お母さんは荷物も持っているので女の子と手がつなげません。女の子はお母さんのスカートを小さな手でぎゅっと握って立っていました。席をあけてくれる人がいて、お母さんと女の子は座ることができました。女の子はよほどさみしかったのか、お母さんのひざに抱きつきました。お母さんは赤ちゃんをあやしながら、女の子の髪を何度も何度もなでてあげていました。
絵本『ちょっとだけ』(瀧村有子=作、鈴木永子=絵、福音館書店)
を思い出しました。
あかちゃんが生まれ、おねえちゃんになった幼いなっちゃんが、あかちゃんの世話に忙しいママをみて、手をつなぐのをがまんしたり、じぶんで牛乳をいれたり、パジャマを着ようとします。いろんなことが“ちょっとだけ”じぶんで出来るようになりますが、そのぶん、“ちょっとだけ”さみしい。
あるとき、公園からかえると なっちゃんは ねむたくなってきました。
「もう おねえちゃんだから おひるねしないもん…」
でも だんだん めがとじてきちゃいそう…。
なっちゃんが いいました。
「ママ、“ちょっとだけ”だっこして…」
「ちょっとだけ?」ママが なっちゃんに ききました。
「うん、“ちょっとだけ”でいいから」
なっちゃんは ねむい めをこすりながら、いいました。
ママは やさしくわらって、もういちどききました。
「“ちょっとだけ”じゃなくて いっぱい だっこしたいんですけど、いいですか?」
「いいですよ!」 なっちゃんも にっこり わらって いいました。
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