最近の心霊番組やホラーは怖くなくなった!
こうした感覚は「懐古バイアス」+「感受性の変化」が重なって起きている現象なのだと考えている。
子ども〜若い頃に触れたものは、単なる作品として記憶されているわけではない。 そのときの感性や時代の空気、家族や友人など周囲の環境、テレビを観ていた部屋、自分がまだ知らなかった世界への驚きまですべてセットで記憶されている。
だから当時観ていた心霊番組を思い出すとき、蘇っているのは番組そのものの怖さだけではなく、テレビで観た怖い世界がそのまま日常につながっていた頃の自分まで一緒に蘇っているのだ。
これらは音楽も似ている。
私の祖父母は、私が子どもの頃に聴いていた歌番組の音楽を「全部同じに聞こえる」と言っていた。
でも祖父母は音楽が嫌いだったわけではない。自分たちが若い頃に聴いていた音楽は大好きだった。よくカセットで聴いていたし、歌っていた。
今、自分もこれと同じことを心霊番組に対してやり始めている。
厄介なのは自分の感性が変化したことよりも、心霊番組のほうが変化したように感じてしまうことだ。
「昔の心霊番組は怖かった」
「今の心霊番組は怖くない」
「だから最近の心霊番組はつまらなくなった」
そう結論づけたくなる。
でも本当は心霊番組が怖くなくなったのではなく、怖いものを素直に怖がっていた頃から自分の感性が変わっただけなのかもしれない。
その一方で記憶の中の「あの頃の心霊番組」は、当時の感情や空気まで含めて思い出補正され、実際以上に怖いものとして美化されてしまっている。
つまり、今の自分の感性で観ている現在の心霊番組と、記憶の中で美化された昔の心霊番組を比べているのだ。
「あの頃の心霊番組は怖かった。それに比べて今は……」
そう言い始めた自分は、祖父母ともう同じ場所にいる。
心霊番組が劣化したのではない。
私の感性が老化したのだ。
これを心霊老害と呼ぶことにする。
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