【森博嗣さん「完全引退」という最大の衝撃について、どう考えていけば良いのか】
今年4月5日の森博嗣さんデビュー30周年記念日の引用元ポストでも書いた話題ですが、恐れていた「その日」が、ついにやって来ました。
本日2026年8月20日をもって、森博嗣さんの公式ホームページの更新が終了します。
今後しばらくは閲覧できるようですが、そのうち閉鎖されて、データ自体も見られなくなるのではないかと思います。
公式ホームページ「森博嗣の浮遊工作室」
「それがどうしたの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、森博嗣さんのホームページは、これまで30年ずっと、森さんのこれまでの活動のすべてと、最新情報をいつでも知ることのできる場でした。
いわば活動拠点です。
そのホームページの更新終了は、現代の出版界で最大の巨人のおひとりである森博嗣さんの「完全引退」を意味します。
デビュー後たちまち人気作家かつ億万長者となられた森さんは、20年ぐらいまえから引退を考えていらっしゃって、時間をかけて少しずつお仕事を減らしつつ、人間関係の義理だけで、ここまで続けてくださっていたのです。
でも、30周年の節目で、ついに、それも終わりを迎えます。
と、ここまで書いても、「だから、それがどうしたの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、森博嗣さんというのは、いまや70人以上を数えるメフィスト賞作家の第1回受賞者です。
というより、森さんをデビューさせるために創設されたのがメフィスト賞なのです。
これまで多くのメフィスト賞作家さんたちが、さまざまなジャンルで活躍してこられたのは、すべては、トップランナーである森博嗣さんが先導してくださっていたからです。
その森さんの「完全引退」は、羊の群れから羊飼いが取り去られることを意味します。
羊飼いのいなくなった羊の群れは、まとまりを欠いた無力な集まりとなってしまいます。
たとえるなら、カトリック教会からローマ教皇がいなくなるような、ありえないことなのです。
森博嗣さんの代わりは、だれにも務まりません。
これは、トップランナーを失ったメフィスト賞の「終わりの始まり」なのかもしれません。
と、延々と嘆いても事態は変わらないので、この最大の節目に、森さんから学ばせていただいたことについて、少し書いてみたいと思います。
本日で更新終了するホームページの画像をこのポストに添えていますが、これを見て、「なんだかなつかしい。昔のホームページのノリ?」と思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、それも森さんが意図されたことです。
見た目のカッコ良さだけを意識するインフルエンサーであれば、いまどきの洗練されたホームページにしたでしょう。
でも、森さんは、「いちばん古いブラウザでも見られるホームページにする」ということを貫いていらっしゃいました。
パソコン環境が原因で見られない読者がいては、意味がないからです。
また、画像では消していますが、e-mailアドレスも記されていて、だれでも著者にメールできる、という点も画期的でした。
森さんは、かつて、読者からのメールにすべて返信されていましたが、それについて、「本を売ることを考えたら、そのぐらいのサービスをするのは当然のことです」と、おっしゃっていました。
流水などは、いまよりはるかに未熟だった昔は、自作への批判を見ると腹が立ったり、ヤル気がなくなったりしていたので、エゴサをすることは皆無でした。
ですが森さんはデビュー直後からエゴサを徹底され、つねに読者のニーズを広く深く把握された上で、メーカーに徹して作品づくりをされていました。
それは、作家・森博嗣さんが成功された最大の秘訣のひとつです。
流水は昨年12月24日にXを開設し、ようやく読者のみなさんと交流したり、エゴサもしたりするようになりましたが、森さんが30年まえにやられていたことに、ようやく追いついたような感覚を抱いています(いくらなんでも、時代遅れおじさんすぎる……💦)。
実際、森さんから「たぶん20年後ぐらいに、その活動が効いてきますよ」というお言葉をいただいたことは、以下のポストでご紹介しました。
[参考] 没後に再評価?
森さんが残された400冊近い著作は、我々読者が一生かかっても味わい尽くせないものですし、森さんと流水の関係になにか変化があるわけではないのですが、そうだとしても、「ホームページの更新終了」という森さんの「静かな完全引退宣言」には寂しい感じはあります。
あ、ちなみに、昨年、EU(ヨーロッパ連合)の電子書籍の法律が大きく変わってから海外の電子書店のシステム障害が続いており、復旧待ちにより、The BBBの英訳活動が現在は休止しています。
ですが、森さんは「英訳は今後も続けてください」とおっしゃってくださり、巻末インタビューにもご協力いただけるようなので、今後それは森さんの肉声を聞ける貴重な唯一の機会となるかもしれません。
第1回メフィスト賞受賞者の森博嗣さんの「完全引退」という受け入れ難い事実に動揺しながら、第2回受賞者である流水は、16日後に迫った清涼院流水デビュー30周年イベントに向けて、まずは精神統一したいと思います。
「その先」のことは、いまは、まだ考えられません。
清涼院流水デビュー30周年記念イベント「流水賛辞、言(ゆ)うねん」
30周年記念イベントでは、参加してくださるみなさまに、可能な方には、「あなたの推し登場人物」と「あなたの推し本」のご投票を、お願いしています(ご投票ナシでも、ご参加いただけます)。
開催までまだ16日ありますが、現時点ですでに興味深いご投票結果になっていますので、イベント2週間まえのあさって土曜には、興を削がない見せ方で、中間発表したいと思っています。
なお、ご投票結果をまとめたスライドを作成する関係上、お申し込みは8月31日(月)の22時が締め切りとなっております。ご注意ください。
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