⚙️NVIDIAが量産に入れたAI推論ラックの仕様表に、HBMの行が無い | 答えを出す側だけが別の箱へ移った $NVDA $NBIS
仕様表にHBMの行が無い。NVIDIA $NVDA が8月24日にフル生産入りを発表したAI推論ラックの話だ。積むメモリは、チップに直接載せるSRAMがラックあたり128GB、大きなモデルとワークロードのためのDDR5が12TB。この2種類しかない。
Groq 3 LPXという。NVIDIAが昨年12月にGroqから非独占でライセンスした推論技術の、最初の製品だ(金額は報道ベースで200億ドルとされる)。CNBCによれば、このチップを作っているのはSamsungで、NVIDIAのGPUを作るTSMCではない。
HBMが不要になったのではない。HBMが要る仕事のほうを、隣の箱に置いてきた。
推論は途中で性質が変わる。入力を読み込むprefillの段は何千トークンもまとめて行列演算に流せるので、律速するのは計算力になる。答えを1トークンずつ出すdecodeの段は違う。次のトークンが前のトークンに依存するから並列化できず、1トークン出すたびに重みとKVキャッシュを読み直す。ここで時間を決めるのは演算器の数ではなく、読み出しの速さだ。
NVIDIAはこの2つを別々のラックに分けた。同社の技術ブログが標準構成として挙げるのは、Vera Rubin NVL72がprefillを担当し、1ターンに1回KVキャッシュをLPXへ渡す形だ。LPXはSRAMに置いた重みとそのKVキャッシュを使って、decodeの段を丸ごと実行する。
読み出しがdecodeの時間を決めるなら、読み出す場所をチップの中に入れてしまえばいい。それがGroqの元の主張だった。同社の解説はオンチップSRAMの帯域を毎秒80テラバイト超と書き、GPUが外に付けるHBMのおよそ毎秒8テラバイトと並べて、最大10倍の差だと説明している。
NVIDIA版のLPXは1チップに500MBのSRAMを載せ、256個を1ラックに詰めて128GB、帯域はラック全体で毎秒40ペタバイトになる。The Registerの試算では、Gemma 4 31BをFP8で載せるのに要るのは256個のうち64個ぶんだ。モデルはSRAMに収まっている。
decodeがメモリ帯域で詰まる、という話は前からあった。そこにNVIDIAが出した答えは、より速いHBMではない。decodeをHBMの外へ出すことだった。
売るのは計算力ではなく待ち時間になる。Artificial Analysisが計ったのはLPX側の生成速度で、Gemma 4 31Bを10万トークンの文脈で走らせて1ユーザーあたり毎秒3,400トークン。NVIDIAが「いちばん近い代替の4倍」と呼ぶ相手は、Cerebrasの毎秒882トークンだ。
> トークンを提供する側にとっては、待ち時間の要求がいちばん厳しい利用者と顧客に向けて、プレミアム階層のサービスを出せるようになる
> (Dion Harris, NVIDIA HPC・AIファクトリーソリューション担当シニアディレクター)
3月のGTCでJensen Huangは、Vera Rubinの性能と価値を延ばすために、Groqラックがデータセンターの面積の最大25%を占めうると述べていた。配分計画ではなく上限の話だが、GPUではない計算機に4分の1まで空ける構図をNVIDIA自身が描いている。
最初に買うのはNebius $NBIS だ。3月にNVIDIAが20億ドルを出資し、Rubin・Vera CPU・BlueFieldへの早期アクセスを含む提携を結んだ相手で、自社の推論基盤Token Factoryに載せる。低遅延の区画にはAMDとCerebrasも入ってきていて、NVIDIAの置き方の違いは、Vera Rubinを置き換えずその隣に並べる点にある。
見どころは水曜の決算そのものより、Nebiusの初号機が年内に実際に立ち上がるかだ。立たなければ、25%という上限は図面のままで終わる。
トークンの速さは長いあいだGPUの枚数の関数として語られてきた。今日量産に入った箱は、その関数の後半だけを切り離して書き直す。隣に残るVera Rubinの側では、HBMは前段の仕事を続ける。
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