数年前くらいから、「まずいな」と感じる場面が増えたように思う。
学校や公共図書で、戦争や平和をテーマにした企画展示に、担当者の躊躇が見られるようになった。
「戦争反対」「平和憲法を守りたい」という思いが、いつしか偏った政治思想とうけ取られるようになった。
多くの人が「巻き込まれたくないから」と、口ごもる。
潮目の変化は、渦中にいるとわかりにくい。
見ないふりをして、平和を人に任せているうちに、私たちはもっと恐ろしいものに巻き込まれるのかもしれない。
✣
『ヒロシマ 消えたかぞく』(指田和 著/鈴木六郎 写真/ポプラ社)には、
ある家族の写真が収められている。
どれも微笑ましく、生命の輝きにあふれた写真だ。
ネコをおぶって、イヌと遊んで、海で泳いで、寝ころんでじゃれ合って
笑う子どもたちがいる。
花に水をやるお母さんがいる。
本をよむお父さんがいる。
でも
このかぞくは消えた。
一人残らず。
全滅してしまった。
街に原子爆弾(核)が落とされたから。
確かに生きていたのに。
前の日にも、川で魚を獲って遊んでいたのに。
〈あしたは、なにを しようかな。ね、おにいちゃん?〉
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