スタートアップの採用あるある。
超エリート企業出身者や海外トップスクールMBA卒など、ピカピカの経歴を持つ人材を採用したいという相談を起業家から受けることがあります。
数年前、まさにそうした相談を受けて実際に採用に踏み切ったエンジェル投資先の起業家と、数日前に「あの採用、振り返ってみてどうだった?」と話しました。
当時、私はこの採用には強めに反対していました。理由は3つ。
①まだその人材に役割を割り当てられるほど組織が整っていない
②本人にスタートアップ適性が見えない
③入社前から給与・タイトルへのこだわりが非常に強い(特に③は明確なフラグ)
結果、その方は目立った貢献のないまま退職することになりました。
起業家の振り返りが示唆に富んでいましたが、少し表現をぼかすとこんな感じ。
・入社前に生株は渡さない。ベスティング付きでも渡さない
・入社前から条件面をやたら交渉してくる人は採用しない
・Day1からの具体的な動きをイメージできない人は採用しない
・どれだけ経歴が立派でも、リーダーシップが感じられない人は採らない
・若手時代に泥臭く動けていたとしても、長い年月を経ればもう別人だと認識する
創業初期の「経歴に惹かれた採用」は、往々にして同じ結末を迎えます。輝かしい経歴は、大きな組織の看板やリソースとセットで成立するものであり、何もないゼロイチの環境で再現される保証はありません。
そうした人材を迎える環境がないまま採用したという点では、エリート人材の当人にとっても気の毒な結果です。
もう一つ付け加えると、こうした採用の背景には、起業家の「寂しさ」があるケースが少なくありません。孤独な創業期に、立派な経歴の人が仲間になってくれると思うと、心が動いてしまうものですが、寂しさを埋めるための採用は、後々大きな代償を伴います。今回も貴重な教訓を得ることができましたが、高い授業料でした。
なお、当時は私以外のエンジェル投資家からも同様に反対されたそうですが、起業家本人は「うちの株主はわかってねーなと思っていた当時の自分をぶん殴ってやりたい」そうです。
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