これ、フィクションに「正しい意思決定」だけを求め始めると、最終的に物語そのものが成立しなくなるんだよな。
「そこでちゃんと話し合えばいい」「そんな男とはすぐ別れればいい」「怪しい場所に行くな」「最初から本音を言え」
確かに全部その通り。でも人間がいつも合理的に動けるなら、そもそも大半の物語は始まらない。
面白い物語って、「何をするのが正しいか」ではなく、「正しいと分かっていて、なぜそれができなかったのか」を描いていることが多い。
愛しているから離れられない。プライドがあるから謝れない。怖いから確認できない。若いから取り返しのつかなさが分からない。過去の経験があるから間違った選択肢だけが正解に見える。
その人の置かれた状況や未熟さ、欲望、恐怖まで含めれば、その失敗にはその人なりの必然性がある。
だから登場人物の行動を「最適解との差分」だけで採点すると、一番おいしい部分が消えてしまう。
フィクションで見るべきなのは「なぜ正解を選ばなかったのか」であって、「正解を知っている自分の方が賢い」ではない。
人間の愚かさをノイズとして除去したら、残るのは物語じゃなくて攻略本なんよ。
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