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土取利行 Toshi Tsuchitori(故・桃山晴衣+立光学舎)
@drumythm
土取利行(ピーター・ブルック劇団音楽監督・演奏家、縄文鼓・銅鐸・サヌカイト奏者。M・グレイヴス、D・ベイリー等と共演。添田唖蝉坊・知道演歌。故・桃山晴衣(大叔父に吉住慈恭、四世・宮薗千寿唯一の内弟子。孤高の三味線弾唄い・語り奏者。「梁塵秘抄」を現代に蘇らせた)。二人の拠点、「立光学舎」(りゅうこうがくしゃ)。
加入 February 2012
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ウブドにやってきた当初、貴族の老婦人が亡くなったという知らせを聞いた。彼女の葬儀が行われたのはそれから一ヶ月後だった。遺体はミイラのように白い布で包まれ、家の祭壇に置かれ、広場ではワアダアという巨大な神輿のような塔、バトランガンという大きな黒牛の格好をした棺が作られていた。遺族の家では毎日ガムランが演奏され、大勢の参拝者が集まっていた。バリ島全域にこのニュースが流れたのか葬儀当日はバスをチャーターしての観光客も大勢詰めかけていた。太陽が眩しく照り輝く正午、行列が火葬場(私がスマル・プグリンガン:タガスのバロンダンスと演奏を見たウブドのプラ・ダラム)まで出発。先頭はガムラン隊、遺族がその後続き、その背後に200人近くの若者が10メートル以上もあるワアダーやバトランガンを担いでゆく。彼らは凄まじい感性と共に砂塵を蹴ってジグザグに進んでゆく。火葬場までの1キロ、通りにはバケツを持った人が待ち構えワーダーなどを担ぐ若者に水を浴びせかける。これによって若者はさらに奮い立ちだんじりさながらの様相を呈す。火葬場についたワアダア、バトランガンは大勢の見守る中、火がつけられ破竹の音を立てながら炎の中に崩れてゆく。黒牛の中に収められていた遺体は外に現れて白骨と化してゆく。ヨーロッパでは火葬の風習がないので、観光客の中にはみているうちに嘔吐をもよおす者もいた。バリの人たちにとって火葬は肉体を焼却し、魂を解放するための儀礼だ。またそれは死者の魂をより高い霊界へと到達できるよう願う歓送でもあるという。白日のもと、ガムランの調べとともに死者の魂は昇天した。
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