無駄美
大きなお皿に、ちょこんと盛られたフレンチ。
広い部屋に、ポツンと置かれた一脚のソファ。
あえて何も置かない空間として区切り、
一輪の花や、掛軸のみがある。
なぜ、美しいと感じるのか。
余白があるからです。
皿の余白、部屋の余白。
何も置いていない場所が、置いたものを引き立てる。
無駄なスペースから生まれる美しさ。
私はこれを、無駄美と呼んでいます。
そして、これは経営にも、
そのまま当てはまると思っています。
効率化を仕事にしていて、
気づいたことがあります。
会社から無駄を消していくと、
ある地点で、会社は「詰まった皿」になります。
予定は隙間なく埋まり、
人は全員が稼働率100%で、
お金は一円残らず投資に回る。
数字の上では、完璧です。
しかし、その会社には、
新しい話が入る場所がありません。
社長に、考える時間がない。
社員に、雑談する余裕がない。
会社に、チャンスに飛びつく資金がない。
余白のない会社は、 盛りすぎた皿と同じで、
何が主役か分からなくなります。
強い会社は、逆のケースが多い。
あえて、埋めていない。
社長の予定に、空白の午後がある。
決算書に、使い道の決まっていない現金がある。
社員に、成果を求められない時間がある。
その余白が、急な相談を受け止め、
不意のチャンスを掴み、
人が辞めない空気を作っている。
効率化の目的は、無駄をゼロにすることではありません。
無駄を減らして、余白を作ること。
同じ「空いている」でも、
埋め損ねた空きと、あえて残した余白は、別物です。
AIで、作業はどんどん消えていきます。
浮いた時間を、次の作業で埋める会社と、
余白として、残せる会社。
美しさの差は、たぶん、そこで決まります。
私のスケジュールも
もう少し空けないと‥
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