ブラジル人が日本の侵略戦争を非難していたが、現代日本人のほとんどは日本の過去の侵略戦争を悪だと考えてるし、日本政府が奪った土地を返還し、謝罪と賠償を行ったことを正しいと考えている。
しかし、ブラジル人は侵略して奪った土地を返していないし、さらなる土地を先住民から奪おうとしてる。
もちろん、過去のブラジル人が先住民や黒人に対して略奪・虐殺・強姦・拷問・奴隷化を行ったからという理由で、今生きているブラジル人を非難するつもりはない。
自分が生まれる前に祖父が略奪・虐殺・強姦・拷問・奴隷化を行ったという理由で、非難されても、「俺がやったわけじゃねえ」と言うだろう。
親が犯罪を犯したために、その子どもを処罰したり、権利に制限をかけたり、非難したりするのは、卑劣で邪悪な人間だけだ。
しかし、過去のブラジル人が侵略して奪った土地と権利を先住民に返還し、謝罪と賠償をするように、政府に求めることはできる。
なぜ、ブラジル人は、それをやらないのか?
奪った土地を返さないのは、邪悪ではないのか?
それどころか、ブラジル人の先住民に対する侵略は、現在進行形で続いている。
つまり、今、生きているブラジル人が、侵略をやっているのだ。
日本だって、大陸から来た侵略者が先住民から土地を奪った?
ところが、遺伝子を分析すると、そうではないことがわかる。
日本本土人の遺伝子の縄文由来成分は20%未満なのに対し、2019年のY染色体研究では、本土日本人男性の約35.4%に、縄文系起源とみられる主要クレードが見つかったのだ。
これは、ブラジル人の混血系の人々の遺伝子と対照的だ。ブラジルの混血系の人のY染色体は、ほとんどが白人由来だ。その中には、侵略者の白人男性が性暴力や奴隷化や非対称な権力構造によって、先住民の女性に子どもを産ませたケースがかなり大きな割合、含まれていると考えられている。
これに対し、日本人では、後に大陸から来た人々の方が人口としては多かったが、先住民が一方的に虐殺・強姦された痕跡は見られず、むしろ、それ以外の形で混血が進んだ可能性が高いと見られている。
沖縄はどうだろうか?
1609年に、薩摩藩が琉球王国へ軍事侵攻し、支配下に置いた。
これは、明確な侵略と言えるだろう。
ただ、ブラジルのケースとはすごく異なる。
ブラジルのように、ポルトガルから大量の入植者が来て、先住民の土地を個別に取り上げて私有地化したわけではないじゃないからだ。
沖縄の場合、それが主な構図だったわけではない。より中心にあったのは、まず琉球王国という国家・王権・外交権・領域主権を日本国家が奪ったことだ。
沖縄の一般庶民からすれば、自分たちを支配している権力者が変わったということだ。
その後、権力者は、さらに変わった。薩摩藩の支配から、明治政府に支配されるようになったのだ。
しかし「直接的に土地を奪われた」と明確に言える時代もあった。
ただし、奪ったのは日本政府ではなく、アメリカ政府だった。
遺伝子的にはどうだろうか?
遺伝子的には、沖縄人は、縄文系と本土系の混血だ。その遺伝子組成は、ブラジルのような「外来男性が在来女性と大規模に混血した」という、はっきりした一方向モデルでは説明しにくい。
日本政府は、沖縄を、沖縄人に返すべきだろうか?
沖縄人が望むなら、当然、そうすべきだろう。
しかし、現在の所、沖縄人の圧倒的多数が、日本国への所属を望んでいる。
このため、沖縄は、日本に所属している状態にある。
「沖縄人は独立したがっているのに、日本政府が武力で抑えつけている」ということはない。
沖縄人のうち、日本本土からやってきた人は、日本本土に帰るべきだろうか?
沖縄先住民の大多数がそう望むなら、そうすべきだろう。
北海道はどうか?
「和人・明治政府が、北海道を植民地化し、アイヌの土地・資源を奪った」とはっきり言える。
アイヌ自身は、どうだろうか?
アイヌは縄文人の直系だと言われることが良くあるが、これは俗説に過ぎない。
江戸期アイヌ94人のミトコンドリアDNA研究では、母系について、縄文型が30.9%、オホーツク型が35.1%、本土日本人型が28.1%と推定され、アイヌ形成には縄文系だけでなくオホーツク文化系や本土系もかなり入っているとされている。
そして、遺伝子を調べても、やはり、ブラジルのような「外来男性が在来女性と大規模に混血した」という、はっきりした一方向モデルでは説明しにくい。
つまり、オホーツク系の人や、本土系の人が、一方的に北海道を侵略し、土地を奪ったという痕跡は見当たらない。
では、日本政府は、アイヌに、北海道を返すべきだろうか?
アイヌの多数派が望むなら、そうすべきだろう。
しかし、現時点では、「アイヌ人全体」や主要団体が、日本政府に対して『北海道を丸ごと返せ』と主張している、とは言えない。
北海道アイヌ協会の公式目的は、「先住民族アイヌの尊厳を確立するため」「社会的地位の向上」「文化の保存・伝承及び発展」などであって、北海道全体の返還や独立を掲げているわけではない。
一方で、「土地や資源への先住権を認めよ」という主張はある。北海道アイヌ協会のサイトにも、先住民族が伝統的に所有・居住・利用していた土地や領土が同意なく奪われた場合には返還措置を取るべき、という考え方が掲載されている。
私としては、日本政府は、先住民であるアイヌの要求に従い、返せと要求している土地は、返すべきだと思う。
ブラジルについても、同じではないだろうか。
先住民が「土地を返せ」と言うのなら、返すべきだ。
少なくとも、ブラジル人は、そうするように、政府に働きかけるべきだろう。
もちろん、これは、ブラジルに限った話ではない。
北米・南米の全ての国、オーストラリア、ニュージーランド、中国、ロシア、デンマークなどは、全て、先住民が望むなら、その土地を先住民に返還するべきだし、先住民が独立を望むなら、独立を認めるべきだろう。
少なくとも、これ以上の侵略は、止めるべきだろう。
顯示更多