タイトルがまた美しいのですよね。読み終えた後も何度も噛み締めてしまう。R.I.P.
日本のミステリー小説史上、最高傑作と呼ぶべき小説の一つだと思う。
まず石神と湯川という二人の天才による頭脳戦が、ミステリーとして圧倒的に面白いことは言うまでもない。
更にトリックの真相が明かされた瞬間の衝撃が大きい上、なぜ犯人はそのトリックを実行に移したのかという一点に、著者・東野圭吾が投げかけたかったであろう「人の愛とは何か」というテーマが詰められている点も面白い。
犯人の愛する人への「献身」は純愛だったのか、もしくは執着だったのか、狂気だったのか。事件の真相が作中で明かされようとも、この感情が正義だったのか悪だったのかその答えが本作に提示されることはなく、いわば著者が読者に対し、「あなたはどう思う?」と最後に一つ小さな謎解きを残した状態で文章は終わっている。この東野圭吾が残した最後の問題に対して、自分なりの解答を出すところまで含め、本作には傑作と呼ばれ得る魅力があるように感じる。
小説が好きで、まだこの作品を読んだことがない方には是非読んで欲しい。持っていない場合は、今夜にでも書店に走って欲しい。恐らく古本屋には売ってない。こんな名作を手放す人間がいるとも中々考えにくいため。
『容疑者Xの献身』(文藝春秋)
読了。ご冥福をお祈りします。
★★★★★★★
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