女性天皇を認めてもよいと思う国民は多い。しかし、それだけで投票先を決める人は少ない。一方、男系維持を国家の根幹と考える人々にとっては、絶対に譲れない問題になる。政治を動かすのは、人数だけでなく、信念の強さと組織力でもある。だが、系図を守って国民の納得を失えば、皇統は残っても象徴が消える。反対に、目先の人気だけで原則を変えれば、長い歴史に支えられた固有性が薄れるかもしれない。
今回の改正で守られるのは、天皇そのものというより、天皇を男系男子で継承してきた形式である。
しかし本当に守るべきものが形式なのか、国民との信頼なのか、それとも両者をつなぐ説明なのか、その答えは、まだ出ていない。
伝統とは、古い座布団に座り続けることではない。
なぜそこに座るのかを、次の世代にも語れることである。
糸は強く引きすぎれば切れ、緩めすぎればほどける。日本の天皇を未来へ残すのは、血筋だけではない。その血筋を私たちの象徴であると受け止める、国民の静かな納得なのである。
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