ああ、またか。産婦人科医としてもっと知られてほしいのは、露出が多いから性暴力の被害に遭いやすいというのは昔から繰り返されてきた誤った思い込みだということ。これまでの調査や研究においても露出の多い服が性暴力の発生率を高めるという確たるデータは存在せず、被害者の服装が犯罪の原因ではない。犯行動機は「露出に誘惑された」とかじゃなく、加害者の支配欲、そして抵抗されにくい状況かどうか。
実際の被害者の服装はセーターにジーンズ、ジャージなど様々で、服装は関係ない。海外では、性暴力被害者が実際に着ていた服を展示し、「被害者にも原因があった」という偏見をなくす取り組みまで行われている。
それなのに、災害時に「女性は露出を避けるべきだ」と発信することは、被害防止策として有効とは言えず、かえって被害者への責任転嫁につながるおそれがある。
避難所では、夜間にトイレへ向かう途中などで性暴力の被害に遭っても、支援を受ける立場にあることや周囲への配慮から、声を上げられず、被害が表面化しにくいことが、これまでの災害で明らかになっている。その現実がある中で、「女性が気をつければ防げる」と受け取られかねない発言は、被害者に「自分にも落ち度があったのでは」と思わせ、さらに声を上げにくくしてしまう。
本当に必要なのは、女性に服装を制限させることではない。この猛暑の中で「肌を出すな」と求めることでもない。必要なのは、避難所の安全対策、十分な照明や見回り、相談体制の整備など、「加害を防ぐ環境」をつくることだ。
矢印を向ける先は、被害者ではなく加害者。そして、加害を許さない避難所の仕組み。
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