いいか、しんのすけ。
フィジカルAIの本質は、
ロボットを賢くすることではなく
『現象を理解すること』にあるんだぞ。
最近、展示会などでもフィジカルAIという言葉をよくみる。
各社の展示を見て多いのは、
カメラで認識して、AIで判断して、ロボットを動かすという構成にかなり寄っている印象だ。
もちろんこれもフィジカルAIの一つだとは思う。
しかし、ものづくりで本当に考えないといけないのは、その先だ。
設備では、
①ソフト上の指令値
②機械・電気による実際の動作
③設備内部で起きる物理現象
④設備によって対象物に起きる物理現象
⑤最終的な製品品質
という繋がりが時系列としてあるな。
そしてAIを使って、この一連を予測したり制御したりしようとすると、
・どんな現象が起きているのか
・その現象の理論式は
・何を変えると、その現象がどう変わるのか
・どの現象を観測すべきか、できるのか
・直接測れないなら間接的に何を観測すべきか
・そのモニタリングにリアルタイム性はあるのか
・再現性を持ってモニタリングできるのか
という、そもそもの工学の問題に戻ってくるんだ。
実際のところ、設備の中で起きている物理現象を完全に理解して使っているわけではない。
なかには研究レベルで実は分かってないこともあるくらいだ。
「この条件ならN増しても結果OK」
「○回使ったら交換」
「1日1回確認」
「ロットごとに抜き取り検査」
といった経験則や時間・回数・結果の管理によって、実際の現象を確認、検証しながら量産を成立させているものがほとんどだ。
それで十分だったわけだ。
しかし、AIによって、
対象をモニタリングして、状態の変化を把握して、
予測し、判断し、制御する。
という実機実物に対する情報の使われ方が変化した今、「そこまで分からなくても設備は動く」とブラックボックスにしていた現象を、もう一度開けて理解する価値が出きたんだ。
ゲームでいうと、ボスを倒しストーリが一旦終わったと思って最初のダンジョンに戻ったら、敵が強くなっていたり、昔は通れなかった通路が開放されていたりする感じに少し似ていると思う。
AIという新しいベースの上で昔はあまり重要視されなかった『機械現象の理解』に対する価値が変わったんだ。
だからこそ、フィジカルAIが進むほど、
AIだけを見るのではなく、
機械、電気、制御、計測、材料、物理現象、原理をもう一度、根本から振り返る必要があるんじゃないかと感じるんだ。
ビジョンの実用性が高まり普及してきたことでAIとの親和性が目立っていることで、今は『フィジカルAI=カメラ+AI+ロボット』に寄って見える。
しかし、工場で品質に影響をおよぼす現象には、
力、摩擦、振動、温度、電流、圧力、変形、摩耗など、カメラには直接見えないものが山ほどあるんだ。
フィジカルAIとは、
新しい技術を設備に追加する話であると同時に、
『この設備で起こってる現象を自分たちは理解しているのか』と、
今まで当たり前としてきたものを、
今一度振り返るところから始まる技術なんだぞ。
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