『加害者と同じ属性なだけで不利益を与えるのは差別であるというのは、黒人の犯罪率を理由に黒人へ補助しないのと同じである』
一見筋が通って見えますが、2点から成立していない議論のように思います
1つ目は「不利益を与える」と「追加支援をしない」という現象は同じではないということです
差別の定義は、属性を理由に不利益を課すことです
黒人に補助を拒否する行為は、他の人なら誰でも受けられるサービスを属性を理由に拒否することになるので、明確な不利益の付与です
一方、女性向けの家賃補助支援において、女性は得をするという見方もできますが(そもそもここは要議論です)、仮にそうだとしても別に男性は何も奪われていません
男性の家賃は補助の前後で変わらず、受けられていた何かを失っているわけではありません
対象者が学生の半分(女性の割合)でとても多いことから、その対象とならない男性が不利益を被っているように見えるのだと思いますが、議論の入り口は異なります
『他人が支援を受けること』は、自分への不利益ではないのです
2つ目は、補助の根拠を取り違えていることです
女性への家賃補助は「男性が加害者だから男性を罰する」ための制度ではなく、「女性に被害リスクが一方的に偏っているから、そのリスクが生む追加コストを補填する」制度です
あえて黒人差別の文脈で例を挙げるのであれば、「ヘイトクライムの被害に遭いやすい集団に、防犯設備の補助を出す」という支援ですが、これは差別ではないものとして多くの人が支持する被害者支援です
属性で個人を裁いてはならない、という原則自体はおっしゃる通りだと思います
しかし、その原則が禁じているのはあくまで属性を理由にした処罰と排除であって、リスクの偏りに応じた支援ではありません
この区別が崩れると、あらゆる支援が「逆差別」の名で解体できてしまうように思います
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