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てぃ先生
@_HappyBoy
現役18年目の保育士。NHK Eテレ『ハロー!ちびっこモンスター』レギュラーなど。著書は育児本カテゴリ1位・2位を独占。18年の現場の実感と、科学的な裏付けの両方から、今日の子育てにすぐ使えるヒントを発信しています。お仕事依頼はHPか、アミューズまで。
Joined September 2012
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この園は、配置基準を満たしていました。0歳児12人に保育士4人。国の基準「3対1」の通りです。それでも事故の瞬間、2人は保育室、1人は事務室、廊下で保育士1人が、9人を見ていたとのこと。 午後2時50分ごろに発生ということは、0歳児クラスの人手が、かなり散らばる時間帯です。まだ寝ている子には5分おきの呼吸チェック。起きた子から順に検温、おむつ交換、必要があれば着替え、おやつの準備。寝起きの0歳児は泣きます。2人・1人・1人は、この時間帯の0歳児クラスなら、自然な割り振りとも言えます。 「3対1」という数字は、保育士がずっと子どものそばにいられて、はじめて成り立ちます。でも実際は、連絡帳、保護者対応、配膳、食後の片付けなど、どれも欠かせない仕事があり、そのたびに人が子どもの前から抜けます。 つまり、数えなければいけないのは「園にいる保育士の数」ではなく、「そばにいられる人数」です。この当たり前のズレが、何十年も放置されてきました。 事故の直前に保育士は、つかまり立ちをする子の転倒に備えて、左手でベビーフェンスを支えていました。その手を、泣きながら向かってきた別の2人を受け止めるために離した。どの園でもあり得る場面であり、間違った行動ではありません。 正しい行動同士がぶつかったとき、体がひとつなら、どちらかを手放すしかない。このどうしようもなさが保育現場の毎日の葛藤であり、この事故の原因でもあります。 保育士はリスクを知らなかったわけじゃない。知っていたから、左手で支えていました。だから再発防止を「研修」や「注意喚起」で終わらせるのは間違っています。研修をいくら重ねても、そばにいられる人数は1人も増えないからです。 もう一つあります。「立ちたい」に応えたことも、正しい保育だということです。事故のあと、現場は萎縮します。でも教訓が「立たせない」になれば、今度は全国の子どもから発達の機会が奪われます。必要なのは「立たせない運用」ではなく、「立たせられる体制」です。 だから、保育士を責めるのは違います。「0歳から預けるから」と保護者を責めるのも違います。同じ配置は今日も全国の園で、合法的に成立しています。違いは運だけです。責めるべきは人ではなく、この構造です。 4・5歳児の基準は2024年度に76年ぶりに見直されました。0歳児の3対1は、四半世紀以上そのままです。その間、足りない分を埋めてきたのは制度ではなく、現場の努力と踏ん張りです。 保護者が安心して預けられること。何より、子どもが健やかに過ごせること。保育の質を高めていくこと。そのすべてが懸かっているのは、園にいる人数ではなく「そばにいられる人数」です。机上ではなく、現場に即した仕組みに変えなければ、保育士がどれだけがんばっても事故は起こります。 保育無償化に、この4月から始まった「こども誰でも通園制度」など、子どもと保護者を応援する政策は、どんどんやってほしい。ただ、その保育を担う保育士の労働環境や待遇に同じ熱量で目を向けなければ、保育の質は上がりません。預け先が増えても、質が置き去りなら、損をするのは結局、子どもと保護者です。保育士を支えることは、保育士のためだけじゃありません。子どもと保護者を守ることそのものです。
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