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日居月諸
@muselmann1942
本を読むのは嫌いですが、本を読んでいます。「ハイライト」タブに本の感想をまとめています。noteでいろいろ書いています。最新記事→
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ちなみに浅田彰は露悪趣味を批判しつつ、「日本人がもてる普遍的理念というのは、結局は平和主義しかない」とも言っている。戦争放棄・平和主義を掲げた日本国憲法は「ほとんど近代国家としての自己を否定したに等し」く、極めて先進的であるがゆえに「これを超える世界史的理念はまだない」とも言う。 この対談が1993年に行われたことを考えると、浅田(と柄谷)は相当に反時代的だったと言える。91年の湾岸戦争で、アメリカを始めとした多国籍軍はクウェートを助けるためにイラクを攻撃した。その時に日本は多額の資金を拠出したものの、自衛隊を派遣しなかったため「小切手外交」と批判された。クウェートがワシントンポストに寄稿した、援助国の一覧を記した感謝広告にも日本の名前はなかった。 これらを受けて、日本では自衛隊派遣を通じた「国際貢献」が必要だという議論が盛んになった。小沢一郎などが憲法改正を通じて「普通の国」になる必要がある、と言い始めたのもこの頃だ。平和主義は偽善だ、との雰囲気が蔓延り始めていた中で、浅田(と柄谷)は偽善だろうと平和主義に勝る理念はない、と訴えていた。 浅田はこの前段で「あらゆる理念がついえ去ったのであってみれば、もうホンネに居直るしかないという気分は、日本のみならず世界中で今いちばん支配的なイデオロギーになっていると思う」と述べつつ、「こういうシニカルな居直りこそが現代の支配的なイデオロギーであって、これを批判できるのは、ある種の理念しかないでしょう」と続けている。 1993年の診断が2026年にも当てはまる状況には驚くほかない。考えようによっては、90年代の時点で理念を訴えることに失敗したから今日の状況があるとも言えるだろう。だとしたら、今こそ理念を訴えなければ、次の30年後の状況はさらに悪くなっているかもしれない、という意識のもとに理念を訴えるべきかもしれない。
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