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あたらしいりんちゃん
@newrinchan_ange
広報マーケの会社員、兼作家志望です。小説、エッセイ、心にうつりゆくよしなしごとを綴ります。ちょっと変わった人生を覗きたい人へ。気が向いたら、現実でもどうぞ。
Joined April 2026
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休日出勤の帰り道。 夕立の名残を含んだ空気を、せわしなく行き交う人いきれが、よりいっそう熱くしていた。 ふいに、遠くで何かが爆ぜる音がした。 「……花火だ」 気づけば、ひとり呟いていた。 ビルの隙間が、ふっと明るむ。 赤、青、緑、金色。一瞬のうちに折り重なった光が、咲いたそばから煙へほどけていく。 その跡を追いかけるように、また新たな大輪がひらき、宵空を何度も塗り替えていた。 ああ、きっと最後に花火を見たのは—— 父の大きな手。紙パックのジュース。浴衣姿の、小さなわたし。 記憶の断片がふっと浮かび、花火の煙とともに夜へほどけていった。 ひときわ大きな音が、街の上空に響いた。 街路樹も、看板も、行き交う人の横顔も、遠い光に一瞬だけ照らされる。 缶のお酒を片手にガードレールへ凭れた恋人たちは、そっと指を絡めていた。 ランニングシャツ姿の男性も足を止め、思わず後ろを振り返っている。 そんななか、足元から向けられた黒目がちな瞳と目が合った。 花火に見惚れる飼い主のそばで、散歩中の犬たちがちんまりと佇んでいる。 首元に結ばれた小さな灯は、赤や青、緑へと、一定の間隔で明滅していた。 宙では花火が咲き、足元では小さなエレクトリカルパレードが瞬いている。 思わず口元が綻ぶ。 一日じゅうヒールに閉じ込められていた足まで、少しだけ軽くなった気がした。
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