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Franken
@t16267nxiC36082
乳腺外科医|外科専門医・乳腺専門医 乳がん診療の現場で感じたことを発信しています。 外来での出来事、患者さんとの対話、最新治療・ガイドライン(ASCO/ESMO/SABCS)など。 「治療の先の日常」も大切にしています。 ※一部フィクションを含みます。
Joined June 2025
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乳がんになったら、交際相手が去っていきました。 でも10年後――。 35歳で乳がんと診断された患者さん。 最初の外来には、交際中の男性と一緒に来られました。 しかしその彼は、どこか上の空で、視線は定まらず、病状の説明も治療の話も、ほとんど聞いていないように見えました。 ただ座っているだけ。 心ここにあらず――そんな雰囲気でした。 次の外来。 彼は来ませんでした。 結婚していたわけではありません。 ですが若い患者さんでは、こういう現実を何度も見てきました。 「病気になった相手を支える覚悟が持てない」 その事実に直面することは、乳がんそのものと同じくらい、時に心を深く傷つけます。 患者さんは、治療のつらさを乗り越えながら、 人間関係の脆さも同時に味わっていました。 それから10年後――。 術後7年目の診察日。 診察室で名前を呼ぶと、名字が変わっていました。 私は一瞬戸惑い、 カルテの名字と、目の前の患者さんの顔を交互に見ました。 すると彼女は、少し照れくさそうに微笑みました。 隣には、新しいご主人。 結果説明の時は、いつも少し不安そうにこちらを見つめています。 でも説明が終わると、彼女と一緒にほっとしたように笑顔になるのです。 それから毎年、 8年目、9年目、10年目も、 二人は一緒に結果説明を聞きに来てくれました。 外来で並んで座る後ろ姿が、 なんだかとても温かくて。 乳がんは、確かに人生から多くのものを奪います。 髪も、時間も、胸も、 時に、大切だと思っていた人間関係も。 でも時に、静かに教えてくれます。 「誰が本当に隣にいてくれる人なのか」を。 あの時去っていった彼は、 彼女を深く傷つけました。 けれど結果的には―― 彼女が、 “本当に人生を一緒に歩ける人” に出会うための、 ひとつの分岐点だったのかもしれません。
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