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💡Marvell $MRVL 、Google と累計1200億ドル規模のカスタムシリコン契約 | 5897万株の新株予約権を発行 $AVGO $GOOGL
Marvell Technology $MRVL は8月19日、SEC に提出した Form 8-K で Google とのカスタムシリコン協業を大幅に拡大したと開示した。対価として Marvell は Google に対し、行使価格206.58ドルで最大58,970,907株を取得できる新株予約権(ワラント)を発行する。全量行使時の行使総額はおよそ122億ドルに達する。
契約の本質は、権利確定(ベスティング)の設計にある。1,360,867株は初年度に時間経過で確定するが、残る57,610,040株は240の均等トランシェに分割され、対象カスタム製品売上5億ドルごとに1トランシェが確定する。240×5億ドルで、全量確定には累計1200億ドルの調達が必要になる。対象期間は Marvell の FY2027 第3四半期から FY2033 末までで、予約権の失効日は2033年8月18日。つまり1200億ドルは支出コミットメントではなく、あくまでベスティングの閾値である。協業範囲は TPU エコシステムに attach する領域と定義され、AI 推論アクセラレータ、ストレージコントローラ、ネットワークインターフェースコントローラ、メモリインターフェースコントローラ、ニアメモリコンピュートが含まれる。TPU 本体の設計を置き換える契約ではない。
市場の反応は対照的だった。Marvell 株が10%近く上昇する一方、Broadcom 株は約5%下落した。Broadcom $AVGO の8月18日終値は380ドルで、年初来の上昇率は10%程度と半導体セクターの中では明確に出遅れている。
BofA(Vivek Arya チーム)は今回の契約を Broadcom にとって中立と評価する。根拠は既存の長期契約(LTA)だ。Broadcom は2026年4月、次世代 TPU の開発供給と次世代 AI ラック向けコンポーネントを2031年まで対象とする長期契約を Google と締結している。JPMorgan によれば同契約は v11 までの4世代をカバーし、2031年まで TPU 売上を毎年積み増すコミットメントを含む。TPU のコア設計そのものは CY31 まで確保されているという整理になる。
BofA の TAM 試算はこうだ。
Google のサーバー/ハードウェア向け設備投資は今後5年で1.5兆から2.0兆ドル超、TPU システムの TAM は CY27-31 累計で4000億から6000億ドル超。この配分について、Broadcom は55-60%超(2500億から3500億ドル超)を維持するとみる。メインのプロセッサダイ上の高付加価値コンテンツ、先端パッケージング、HBM 統合、SerDes、ネットワーキングを押さえているためだ。Marvell は XPU-attach プログラムを通じて10-20%(500億から1000億ドル超)、MediaTek はコスト最適化バリアントで20-30%(1000億から1500億ドル)を取りにいく構図となる。MediaTek は Google 内製チームと Zebrafish(TPU v8t、3nm)で協業しているが、Broadcom には18カ月のリードがあるとされる。
レーティングは両社とも据え置きだ。
Broadcom $AVGO は買い継続、目標株価530ドル(CY27予想 PER の30倍、SBC 込み)。FQ3 決算は9月2日の引け後に予定され、売上高約294億ドル、AI 半導体売上高は前年同期比200%超増がガイダンスとして示されている。顧客はAnthropic、Google、Meta、OpenAI を含む6社体制で、CY27 開始の Meta および OpenAI からの新規ランプアップが短期需要を下支えする。
Marvell $MRVL はトップコネクティビティピックとして維持、目標株価365ドル(CY30予想プロフォーマ EPS 15.04ドルの31倍を2年分割り引いた水準、過去中央値26倍をやや上回る)。XPU-attach の新規受注は収益可視性を高める一方、競争激化がマルチプルへのリスクとして残る。
直近の検証ポイントは2つ。Marvell の FQ2 決算が8月27日、Broadcom の FQ3 が9月2日である。Marvell 側では Google 案件の規模とタイミング、Broadcom 側では TPU の世代交代に伴う単価とコンテンツ構成が問われる。
構造的には、Google が単一供給から複数供給へ移行したこと自体は既定路線であり、争点は「誰が外れるか」ではなく「システム1台あたりの価値をどう分けるか」に移った。
Broadcom にとっての実質的なリスクはGoogle の喪失ではなく、シェアの逓減とマルチプルの剥落である。実際、8月14日の下落は AMD 要因ではなく、BofA のクレジット部門が Broadcom の発行体格付を Overweight から Marketweight へ引き下げ、AI チップ向けオフバランス調達の規模を3700億ドルと試算したことが引き金だった。エクイティ側の強気とクレジット側の慎重論が併存している点は、今の $AVGO を見る上で外せない。
調達額に株式を紐づける構造は、NVIDIA と OpenAI、AMD と OpenAI に続く流れであり、循環取引的な性格からバリュエーション膨張への懸念も指摘されている。Marvell 側には最大6.3%の希薄化が伴う。1200億ドルという数字を売上確約と読み違えないことが重要となる。
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🔎5億ドルで1段、240段で1200億ドル | Marvellが差し出した梯子に、Googleが登る義務は書かれていない $MRVL $AVGO
58,970,907株。Marvell Technology $MRVL が8月18日にGoogleへ発行した新株予約権の上限だ。行使価格は1株206.58ドル。掛け合わせると121億8,000万ドルになる。見出しに並んだ「122億ドル」はこの積だ。Googleが受け取る額ではない。全部を確定させて行使したときに、Googleが払う側に立つ額である。
株価は8月19日に9.8%上げて237.27ドルで引けた。Google $GOOGL は0.15%高でほとんど動かず、10年にわたってGoogleのカスタムチップを主に手がけてきたBroadcom $AVGO が4.6%下げた。
時間の経過だけで確定する分は、1,360,867株しかない。全体の2.3%で、契約から1年のあいだに四半期ごと均等に確定する。残る5,761万株、97.7%は時間では1株も確定しない。GoogleがMarvellからCustom Productsを買った金額に応じて、240の等しいトランシェ(段)に分かれて確定していく。1段あたり5億ドルだ。
Custom Productsが何かも8-Kに並んでいる。TPUの周りに付く推論アクセラレータ、ストレージとネットワークのコントローラ、メモリインターフェース、near-memory compute。
240段に5億ドルを掛けると1,200億ドルになる。この積は届出のどこにも書かれていない。読む側が掛け算して初めて出てくる数字だ。
8-Kはその購入を discretionary purchases と書いている。裁量による購入という意味だ。Googleが最低いくら買うのか、買わなかった場合に何が起きるのかは、この書類のどこにも無い。
1,200億ドルの大きさは、Marvellの実績で測るとわかる。段を数える期間は2027年度第3四半期から2033年度末までの26四半期。1,200億ドルを26で割ると、1四半期あたりおよそ46億ドルになる。
Marvellが5月2日締めの四半期に計上した全社売上は24億1,780万ドルだった。うちデータセンターが18億3,270万ドルで、全体の75.8%を占める。240段すべてを確定させるには、Googleひとりで全社売上のおよそ1.9倍を、26四半期のあいだ買い続けることになる。
これは規模が絵空事だという話ではない。1段の5億ドルは、直近四半期のデータセンター売上の27%にあたる。数段でもMarvellの四半期の顔つきは変わる。ただ、それは契約ではない。
希薄化のほうも、額が決まっているわけではない。240段すべてが確定してGoogleが行使すれば、8億7,576万株に対して5,897万株、発行済みの6.7%が新たに出る。ただし出るかどうかもGoogleが決める。時間だけで確定する1,360,867株を別にすれば、希薄化も売上と同じ引き金を待っている。
Broadcomの4.6%安には、Googleの発注が移るという読みが働いている。ただCNBCが書いているとおり、Broadcomはこの10年、Googleのカスタムチップの主要な相手であり続けている。仕事の取り分が実際にどう動いたかは、この8-Kからは読めない。読めるようになったのは別のことだ。片方の供給者のGoogle向け売上にだけ、5億ドルごとに1段という、外から数えられる目盛りが公開で付いた。Broadcomの側に、同じ形で外から数えられる開示は無い。
最初の1段が確定しうるのは2027年度第3四半期からで、この四半期は8月の頭に始まっている。8月27日に出るのは、その直前に終わった第2四半期の決算だ。梯子の話は1段も入らない。
段が実際に動いたかが見えるのは、第3四半期の10-Qが最初になる。前年の第3四半期決算は12月2日に出た。そこに確定株数が載らなければ、1,200億ドルは書類のなかの掛け算のままだ。
9.8%の上げが織り込んだのは、Googleとの関係が続くという見立てであって、確定した売上ではない。8月19日の1日で、Marvellの時価総額はおよそ186億ドル増えた。その根拠になった書類のなかで、後戻りできない約束をしたのは、株を渡した側だけである。
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💡 Marvell Technology, Inc. $MRVL Q2 FY2027決算 2026-08-27
💰 今四半期業績
- 🟢 EPS:$0.94 (予想$0.93)
- 🟢 売上高:$2.74B (予想$2.72B)
📊 重要指標
- 🟢 Data Center売上高:$2.2B (YoY+46%)
- ⚫️ Non-GAAP粗利率:58.9% (YoY-50bps)
- 🟢 Non-GAAP営業利益:$1.003B (Non-GAAP営業利益率 36.6%)
- 🟢 Communications and Other売上高:$567.8M (YoY+10%)
- 🟢 営業キャッシュフロー:$605.5M (前年同期 $461.6M, YoY+31.2%)
- 🟢 フリーキャッシュフロー:$478.8M (前年同期比+3.7%)
- 🟢 Non-GAAP純利益:$865.9M (Est. $852M) (YoY+47.9%)
📊 次四半期ガイダンス
- 🟢 EPS:$1.10 (予想$1.08)
- 🟢 売上高:$3.15B (予想$3.04B)
📍決算内容の注目ポイント
- Q2売上高は$2.739Bと過去最高を更新し、会社ガイダンス中央値を$39M上回る結果となった
- Data Center事業の売上成長がYoY+46%に加速し、AI関連受注は引き続き極めて堅調。Custom事業はFY2027下半期に大幅な加速が見込まれている
- FY2027およびFY2028の売上見通しを前四半期提示のガイダンスから再度引き上げ。Q3ガイダンスは売上$3.15B±5%、Non-GAAP EPS $1.10±$0.05と市場予想を上回る水準を提示
- 2026年3月にSeries A転換優先株を$2.0Bで発行。自社株買いは四半期$200Mを継続実施
- 2026年10月6日にInvestor Dayを開催予定。AIインフラの継続的拡大に向けた長期戦略を公開する方針
🤵♂️CEO (Matt Murphy) コメント
「Marvellは2027年度第2四半期に過去最高の売上高$2.739Bを達成し、前年同期比37%成長を記録しました。Data Centerポートフォリオ全体にわたる堅調な需要が牽引し、同事業の売上成長率は前年同期比46%に加速しました。AI関連の受注は引き続き極めて強力であり、FY2027の残りの期間を通じて売上成長がさらに加速すると見込んでいます。この力強さを踏まえ、前四半期に提示したガイダンスと比較して、FY2027およびFY2028の売上見通しを再度引き上げます。ConnectivityおよびCustom事業を含むData Centerポートフォリオ全体で幅広い強さが見られます。」
🔍 主要ファンダメンタルズ指標
- 時価総額: 211.45B
- PER: 82.15
- Forward PER: 59.32
- PEG: 0.02
🎯市場評価
- 株価 (発表前): 📉$241.39 (-1.52%)
- 株価 (発表後): 📉$233.83 (-3.13%)
- 決算前アナリスト目標株価: $261.65 ($400 ~ $155) B-
- 決算総合サプライズ率 (AI推定): 😊3.87%
- 決算後目標株価 (AI推定): $234.08
🤖 決算まとめるくん(AI)コメント
「Marvell Technologyの2027年度Q2決算は、売上高・EPSともにアナリスト予想を上回り、堅実な成長軌道を確認させる内容でした。
最大の注目点はData Center事業の加速的成長です。同事業の売上高は$2.2Bに達し、YoY+46%と前四半期から成長率が加速しています。AI関連の受注が「極めて堅調」とされ、Custom事業のFY2027下半期における大幅加速見通しと合わせて、AI半導体需要の恩恵を着実に取り込んでいる構図が鮮明です。
Q3ガイダンスは売上$3.15B(アナリスト予想$3.04Bを約3.6%上回る)、Non-GAAP EPS $1.10(同$1.08を上回る)と、いずれも市場期待を超える水準を提示しました。さらにFY2027・FY2028の売上見通しを再度引き上げた点は、経営陣の強い自信を示しています。
Non-GAAP営業利益率は36.6%と前年同期の34.8%から改善し、売上拡大に伴うレバレッジ効果が発現しています。一方、Non-GAAP粗利率は58.9%と前年同期比50bps低下しており、製品ミックスの変化やCustom事業の構成比上昇による影響が窺えます。
財務健全性はAltman Z-Scoreが15.6と極めて高水準にあり、信用リスクは限定的です。Piotroskiスコアは6と健全基準の7をやや下回りますが、急成長フェーズにある企業としては許容範囲内と考えられます。
決算発表後に株価が軟調な動きを見せた背景には、直前のNvidia好決算を受けたAI半導体セクター全体の期待値の高まりと、粗利率の若干の低下傾向が意識された可能性があります。しかし、ガイダンスの力強さとData Center事業の成長加速は、中期的な成長ストーリーを支持する内容と評価できます。 評価は📈ポヨ」
🏢 Marvell Technology, Inc. 概要
- セクター: テクノロジー(半導体)
- 特徴: データセンター向けを中心とするデータインフラ半導体ソリューションの大手プロバイダー。AI・クラウド・ネットワーク向けカスタムASIC、光インターコネクト、Ethernet等を提供
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📒NVIDIAが取りにきたのは、シェアではなく規格だった | メモリの設計図と、300万のモデルが積まれた場所 $NVDA
2026年8月26日、水曜日。米国市場の引け後に、NVIDIA(NVDA)が2027年度第2四半期の決算を出した。
数字は良かった。
売上962億ドル、前年同期比106%増。前年比の伸び率が加速したのは、これで4四半期連続になる。データセンターが890億ドルで、全社売上の92.5%を占めた。Non-GAAP EPSは2.22ドルで、市場予想の2.09ドルを上回っている。
しかし、市場が最初にみたのは、そこではない。
粗利率だった。第2四半期の実績75.0%が、第3四半期に74.0%へ落ち、第4四半期には71〜72%まで沈む。CFOのColette Kressは理由を明言した。メモリの価格だ、と。
そして、この会社がこれまで一度もやらなかったことを、一つだけ行った。1年先のガイダンスの公表だ。2028年度の売上は、前年比で約70%増える見通しだと置いた。
良い決算とガイダンスにコストの警告が付いた、という読み方をすれば、それで話は終わりだ。
ところが、同じ日にNVIDIAに関して、意外な発表と報道があった。
一つはNVHBMという技術発表だ。
HBMのメモリコントローラを、演算チップのダイからメモリ側のベースダイへ移す設計になっている。そして注目すべきは、NVIDIAがこれを自社で製造すると言っていないことだ。標準実装を自分で策定し、複数のメモリメーカーがそれに従って供給する形にする、というものだ。
もう一つは買収報道だった。
The Informationが、NVIDIAがHugging Faceを129億ドルで買収することに合意したと伝えた。Hugging FaceはオープンソースのAIモデルが世界中から集まる場所で、300万を超えるモデルが置かれている。年間経常収益は1億ドルほど。利用者の97%は一円も払っていない。
ここで違和感が残る。
決算の数字だけを追っていると、この会社はコストに押されているように見える。粗利率を3ポイント以上削られ、部品の値上げを全額は転嫁できていない。売り手として世界最強クラスの価格決定力を持つ会社が、メモリメーカーの言い値を飲んでいるように写る。
だが、同じ日に出た二つの発表は、コストに押されている会社の動きではない。
メモリの設計仕様を自分で決めて、他社に作らせる。オープンモデルが集まる場所を買う。どちらも、目先の粗利率には一円も効かない。効いてくるのは数年先だ。
粗利率を削られている当の四半期に、なぜ数年先の標準を取りに行くのか。
この1日に出たものを並べ直して、感じたことが一つある。
NVIDIAが取りに行っているのは、もうチップのシェアではない。AIインフラの各層で、みんなが従う形、つまり「規格」そのものだ。
メモリだけの話ではない。相互接続にはNVLink Fusionがあり、他社のカスタムチップを自社のラックへ迎え入れている。モデルの流通にはHugging Faceがある。資本の流れにも、6つの金融機関と組んだ5,000億ドル超の枠を用意した。
自分で全部を作るのではなく、通り道を持つ。同じ形態が何度も出てくることに気が付く。
本記事の前半では、Q2 FY2027の決算を分解する。数字の並びには、この会社が何を先に買ったかがそのまま出ている。後半では、同じ1日に出た発表を層ごとに並べ直す。演算、相互接続、メモリ、モデル、そして資本。5つの層で何が起きたのかを追うと、NVIDIAがどこに立とうとしているのかが見えてくる。今後の投資判断の参考となれば幸いだ。
なお、決算発表とQ&Aの全文日本語訳についてはXのサブスクメンバー向けに公開している。良ければ、合わせて参照してもらえたらと思う。
では、早速決算の中身を見ていく。
(続きは以下のnote記事にて!)
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東京アウトドアショー2026
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💡 Samsung Electronics 、NVIDIA のカスタムメモリ「NVHBM」で先行か | HBM4E 8段・17〜18Gbpsを開発中 $NVDA $MU $TSM $AMZN
Samsung Electronics が NVIDIA $NVDA のカスタムHBM「NVHBM」供給で中核パートナーの座を先に押さえた、とソウル経済が8月28日に報じた。
同社は NVIDIA の要求に合わせ、当初準備していた12段・16段ではなくHBM4E(第7世代)の8段品を開発している。提示された動作速度は17〜18Gbpsで、初期HBM4Eサンプルの14.4Gbpsを2割上回る。積層高さを3分の1削り、その分を速度に振り替える構成になる。
NVHBMは NVIDIA が現地時間8月26日、NVLink Fusion の拡張として公開した独自規格である。従来はXPU側の演算ダイに載っていたメモリコントローラをHBMスタック内部へ移す設計で、標準HBM4E比で帯域が最大30%向上、HBM消費電力が最大15%低下、演算ダイ側で使える面積が最大25%増える。JEDEC規格比でPHYと周辺回路の面積は最大67%削減され、インターポーザ配線が簡素化されることでパッケージ全体では最大80%多くのシリコンを実装できるとする。NVIDIA 自身は製造せず、複数のメモリベンダーが供給できる標準実装を整える形を取り、第1号パートナーは Amazon $AMZN 傘下のAnnapurna Labsとなる。次世代Trainiumでの組み合わせが想定されている。
8段への回帰は、これまでのHBM競争の前提を反転させる。HBMは4段から8段、12段へと積み上げて容量を稼いできたが、段数が増えるほどDRAMダイを薄く削って精密に積む必要があり、後工程の難易度と歩留まり負担が跳ね上がる。8段は製造負荷が軽く、同じウェハ投入量からより多くのスタックを取り出せる。
Samsung と SK hynix は今年下期、NVIDIA 向けHBM4でも8段比率を引き上げる計画で、発熱管理と供給安定性が主因とされる。SK hynix のCEOは27日、米インディアナ州の先端パッケージ工場起工式後の会見で、メモリ不足が2030年末まで続くとの見方を示している。8段回帰は、この供給制約下でHBM搭載GPUの絶対数を確保するための現実解と読める。
代わりに NVIDIA は速度を取りにいく。NVHBMは2027年後半投入のRubin Ultra世代からの適用が有力とされ、同世代はスケールアップ領域を従来の72基から最大576基へ8倍に広げる。GPU単体のメモリ容量が減っても、より速いHBMを載せたGPUを数百基束ねて全体演算性能を積み上げる設計思想である。
Samsung のHBM4Eラインアップは8段32GB、16段64GBの構成で、16スタック実装なら8段採用時のパッケージ容量は512GB、当初示された1TBの半分に落ちる。一方、HBM4Eの2048ビット幅(16Gbpsで4.0TB/s)を前提に17〜18Gbpsを当てはめるとスタック帯域は4.4〜4.6TB/sとなり、NVIDIA が掲げる標準HBM4E比30%増とほぼ一致する。容量と帯域のトレードオフを、帯域側へ振り切った判断だ。
Samsung が優位に立つ理由は組織構造にある。NVHBMはDRAMだけでなくロジックベースのベースダイ設計と製造能力を要求する。Samsung はHBM4で1c DRAMと自社Foundry 4nmベースダイを組み合わせ、JEDEC標準8Gbpsを約46%上回る11.7Gbps(最大13Gbps)を安定確保した。対してSK hynix はHBM4E向けロジックダイにTSMC $TSM の3nm採用を検討し、Samsung は自社4nmで対応する構図にあり、Micron $MU も標準・カスタム双方のHBM4Eロジックダイ製造をTSMCに委ねている。高積層ではなく速度と開発回転数で勝負が決まる局面では、この一貫体制が効く。
最大の未確定要素は初適用世代である。NVIDIA 自身の発表はNVHBMを将来のGPUのメモリ基盤とするに留め、時期を明示していない。海外メディアの一部は2028年のFeynman世代を初適用先と見る一方、韓国側の報道はRubin Ultraを指す。
より本質的なのは主導権の移動である。ベースダイに載るコントローラが NVIDIA 設計になるということは、HBMの付加価値の一部が製造側から設計側へ移ることを意味する。Micron 経営陣は既に、設計と認証にかかる時間とコストを踏まえれば顧客が3社すべてと組むとは限らず、2社あるいは単独調達へ収斂し得ると指摘している。標準品の汎用化と特注品の囲い込みが同時に進み、供給者の交渉力は案件ごとに大きく振れる。
需要側の温度は依然高い。NVIDIA の2027年度第2四半期(7月26日締め)は売上高962億ドルで前年同期比106%増、データセンター部門は890億ドルで同117%増、第3四半期ガイダンスは1,058〜1,101億ドル、上位5社のハイパースケーラー設備投資は2026年の8,000億ドルから来年1兆3,000億ドルへ拡大する見通しが示された。この需要を前に、メモリ供給の物理的制約をどう回避するかという設計解がNVHBMであり、8段回帰である。積層数を競う段階から、速度と実装数を競う段階へ。AIメモリの評価軸が入れ替わる過程を注視したい。
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