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今井翔太 / Shota Imai@えるエル
@ImAI_Eruel
人工知能の研究者 / JAIST客員教授 / 東京大学松尾研で博士(工学)/ GenesisAI代表取締役社長CEO / 国家戦略特区アドバイザー / 東京大学150人委員会 委員/著書:ベストセラー『生成AIで世界はこう変わる』など
参加 June 2018
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DeepSeek-V4-Flashの異常な性能と安さについて「これは今だけ。中国モデルもいつか値上げする」という意見があります。これは最もですが、DeepSeekは特殊で、先日リークがあった以下の創業者の投資家向けトークから伺えます。これは中国AIのコストの話を超え、今後世界のフロンティアAIモデル競争、AI関連の投資経済も左右する話かと思います。 ・AIは巨大な市場であり、いつかは世界のGDPの10%を占めるかもしれない ・しかし、それを独占してはならない。他者と共有しなければ生き残ることはできない。これはAIそのものより大きな問題であり、この利益を独占する者は歴史に見放される ・AIに関しては従来のビジネス思考に従うべきではない。AIを現実のものとし成功するには自制心が必要である。 ・世界のGDPや中国のGDPの一定割合を自分たちが支配していると考えてはいけない。そのような考え方をすればするほど成功する可能性は低くなる ・AIの成功による利益は莫大である。小さな分け前でも非常に大きな利益であり、これでも十分である、大きな利益ではなく、妥当な利益を得ることが重要だ ・当社のAPI価格設定は、AI開発に必要な機器に必要な投資を10ヶ月で回収できる程度が妥当だと考える ・これは利益の最大化が目的ではない。今の性能と価格帯であればおそらく価格を2倍にしてもユーザーのトークン消費量はあまり変わらないだろうが、しない ・実は当初は需要の高さが予想されたため、価格を上げたことがあった。しかし、これはDeepSeekのチーム内で評判が良くなかった。その後、価格を4分の1にしたらチームが大喜びして歓声があがった。 ・この歓声と喜びこそがDeepSeekのビジョンを指している。つまり、利益の最大化ではなく、適正な利益を維持しながら誰もが購入できる価格を実現し、誰もが役に立つAIを手に入れられることである ・これはおそらく他の競合は喜ばないだろう。普通に考えると、この考え方は利益を損なう。だが、これこそがDeepSeekが違う点であり、我々はそれで十分だと考える。10ヶ月でコストを回収できる程度の価格であれば、商業的に満足であり、会社も社会も人々もWinWinだ ・私にとって、この価格の抑制策は戦略である。短期的にはこれで利益は減るかもしれない。しかし、大きな見返りを得るためには何かの犠牲が必要だ ・当社は利益を6倍に抑え、10ヶ月でコストを回収することを目標とする。利益を100倍にしたいのであれば、オープンソースも含めた我々の戦略は不当であるが、この目標であれば持続可能である。 ・この戦略は技術面で多くの機会をもたらし、AGI実現の可能性を高める と、普通に聞けばポジショントークで、OpenAIも似たようなことを言っているような気がするのですが、重要な点として、 ①そもそもこのトークは公開されることを前提にしたものではなく、目の前にいる投資家だけに向けたものだった(後日、このトークが表に出て問題になった) ②目の前にいるのは投資によって利益の最大化を目論む投資家であるにも関わらず、それと逆行する内容である ③DeepSeekは実際にここまでほぼ上記の哲学に基づく開発と経営を実行してきた (オープンモデルはもちろんのこと、DeepSeek論文によって表に出たGRPO、RLVRなどの技術は現在のLLM開発の標準になっている。OpenAIなどは技術は持っていても公開しなかった) ④DeepSeek創業者はすでに個人として人生コンプリートの状況であり、個人としても会社としても資金に不足がない ということで、少なくとも本人は現時点での本音を語っていると見ていいと思います。 DeepSeek創業者の梁文鋒は、すでに本業の金融で財をなした億万長者(おそらく世界の新興AI起業の創業者ではトップ)かつ中国の英雄としての名声もあるので、真の意味での「無敵の人」です。DeepSeekもほとんど自己資金でやっており、外部資金調達はほとんどおまけか余裕を確保するためで、実際前回の投資はトークが流出したので、怒って全部断っています。よって、事実上どこからも制約も受けず(強いて言えば中国政府くらい)、自分の哲学をどこまでも貫き通す可能性が高いです。 DeepSeekの性能がOpenAIやAnthropicなどに一旦追いついてしまえば、これらのラボが収益を上げようとしても、実質的に梁文鋒の哲学によって決められた価格が基準になってしまい、高い利益率をあげることができません。 これはさらにOpenAIやAnthropicに投資した金融にも波及するので、ある意味で現在のAI経済への爆弾のきっかけになるとも言えます。一方で、OpenAIやAnthropicはともかく、梁文鋒の言うようにAIの経済全体としてGDPの何%みたいな状況になれば、AI経済全体としてはプラスで投資が報われるという考え方もできます。
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