【GPIFは円安対策の基金ではない】JVL
1ドル=163円台まで円安が進むなか、GPIFによる国内資産への投資拡大が「円安対策」として注目されている。
外国資産を売却し、国内債券や日本株を買えば、外貨売り・円買いが発生する。約294兆円を運用するGPIFだけに、その規模は無視できない。
しかし、GPIFは、国民が納めた保険料を原資とし、将来の年金給付を支えるための資金である。為替介入基金ではない。
現在の円安には、日米金利差や企業の海外投資だけでなく、日本の財政運営に対する市場の警戒も影響している。
政府は「責任ある積極財政」を掲げる一方、巨額の対米投資も推進している。5500億ドルは、1ドル=163円で単純換算すれば約90兆円に達する。
この全額が直ちに市場でのドル買い・円売りになるわけではないが、対外投資によってドル需要を増やす一方、国内ではGPIFの外国資産を売却させて円を買わせるのであれば、政策として極めて不自然である。
財政拡張や対外投資が円安圧力を強め、その後始末を国民の年金資産に担わせる。
火元を残したまま、老後資金を消火器として使うようなものだ。
そもそも、国内資産への配分拡大が、長期的に年金加入者の利益になるとの独立した運用判断であれば問題はない。
だが、その目的が円安対策、国債の買い支え、株価の下支えであるなら、話は別だ。
GPIFは、政権の政策を支える財布ではない。
政府が説明すべきなのは、GPIFによって何円の円高を実現できるかではない。
なぜ国民の老後資金を持ち出さなければならないほど、円への信認を損ねたのかである。
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