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クレア|日常の違和感言語化係
@kureakurea01
日常の「ん?」を文学・物語・推理・学びへ。仕事、人間関係、都市伝説、ニュース、投資、食に潜む、まだ名前のない違和感を拾い、日常と感情の翻訳をする名もなき社説執筆者です。誰かが言葉にできなかった感情を、世界中にいる誰かの心に届く物語へ。あたしは日本も世界も大好きです。
参加 September 2023
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かつて作品とは、作者が完成させて観客へ渡すものだった。だがSNSでは、少しだけ足りない作品のほうが遠くへ届く。視聴者は欠けた部分を見つけ、自分の記憶や信仰や笑いを持ち込み、参加者になる。完璧な一覧は保存される。不完全な一覧は会話を生む。Jという一文字は、言語や国境を越える器にもなっている。ホラー映画、海賊映画、犯罪劇、カンフー、ゲーム、宗教まで、本来なら一緒に並ばない存在が、一つの頭文字によって同じ舞台へ呼び集められた。 もちろん、Jそのものに特別な力があるわけではない。英語圏にJで始まる名前が多く、有名な人物だけを集めた結果ともいえる。 それでも、人間は偶然の中に物語を見つける。 吾輩には、Jという文字が人間の人生に見えてならない。 上からまっすぐ落ちて、最後に曲がる。絶望へ向かっていたはずなのに、地面の直前で進む方向を変える。 ジェイソンの仮面も、ジャックの冗談も、ジョーカーの笑顔も、ジョン・ウィックの沈黙も、その曲がり角なのだろう。 強さとは、傷つかないことではない。 痛みを仮面に変える者がいる。 笑いに変える者がいる。 技に変える者がいる。 誰かを守る決意に変える者がいる。 取材の帰り、あたしは蓮に尋ねた。 「あなた自身のJは、誰なの?」 彼は少し黙ってから、パソコンの暗い画面に映る自分を指さした。 「まだ名前はありません。でも、いつか誰かの続きを作れる人になりたいです」 Jの魅力とは、強者の頭文字ではない。 傷を抱えたまま、それぞれの方法で立ち上がった者たちの印である。 そして完成していないからこそ、その列には、まだ誰かが入る場所が残されている。 もしかすると次の「J」は、有名人でも英雄でもない。 今日、自分なりの方法で絶望の底を曲がり、もう一度歩き始めた、名もなき誰かなのかもしれない。
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