【高校時代に誰とも話せなかった私が、人の話を聞く仕事を20年続けている】
麹町の文藝春秋本社を出ると、夏の夕日に温められたぬるま湯の空気が体を包んだ。四ツ谷駅へと向かう道を歩いているのに、泳いでいるようだった。
きょうもよいインタビューはできた。
若い頃はインタビューが終わると聞き忘れたことはなかったか、あのやり方でよかったかと恐怖感に襲われたが、20年近くの経験がきょうの内容で面白い原稿になるという確証をくれる。
夕日で黄色に染まった建物を見ながら、無心で歩いていると四ツ谷駅が見えてきた。駅近くの雙葉高校の生徒たちの集団が駅へと吸い込まれていく。
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