クラウドナインが5月にLAで開催した音楽フェス「Zipangu」。社内の最初の試算では、最悪の場合10〜15億円の赤字という数字が出ていたという裏話をラジオで語られていてめちゃくちゃ面白かったです。
✅ 会場はパサデナのBrookside at The Rose Bowl、キャパは約35,000人
✅ 出演はAdo、新しい学校のリーダーズ、ちゃんみな、HANA、MAN WITH A MISSION、千葉雄喜、10-FEETの7組
✅ 同じ会場でソロのワンマンをやっても埋まるが、フェスにすると制作費は7倍以上
✅ 来場者のうち日本からの渡航は5%ほどで、残りは現地のお客さんだったとのこと
個人的に一番面白いのは、成功の定義のほうです。
クラウドナイン代表の千木良さんが挙げていたのは、当日の収支ではありませんでした。
出演したアーティストがこの先ビザの取り方を覚えて、現地のイベンターと関係を作って、自分で会場を押さえられるようになって、自力で世界ツアーを組めるようになったら成功だ、という話です。
つまり成果指標が、来年以降に出演者が自走できるかどうかに置かれている。
事務所のビジネスとしてはかなり独特だと思いました。自社アーティストの売上を最大化するだけなら、制作費7倍のフェスを選ぶ理由はない。やっていることは、日本のアーティストが海外に出るための踏み台をつくる、業界インフラへの投資に近いです。
海外進出のハードルは、お金そのものよりビザ・現地イベンター・会場・実績といった経験値の不足で、これは一社で抱え込むより通り道を作ったほうが早い。
誰かが最初に赤字を飲んで道を通さないと、後続はいつまでも同じ場所で足踏みすることになります。
Zipanguは来年以降も続ける方針とのことで、ロサンゼルス以外の都市も視野に入っているそうです。次に誰がヘッドライナーに立つかで、この投資が効いたかどうかが見えてくると思います。