別れ際に見える人間性。
10年以上通った定食屋が閉店した。
メニューは、さば味噌定食だけ。
骨まで食べられる唯一無二の味だった。
店のお母さんは最後までぶっきらぼう。
「残さず食べなさい」
「若いんだからおかわりしなさい」
「ネット見て来る客は迷惑」
閉店の日も、
「このあと詰まってるから、早く食べて帰って」
と、いつも通りだった。
常連さんが連絡先を渡そうとしても、
「ありがとね。またそのへんで会うよ」
と軽くかわす。
地元へ帰り、施設に入ると聞いていたのにさ。
ボクは名刺を渡そうと思った。
でも、やめた。
あの関係は名刺で続けるものじゃない。
最後まで「東京のお母さん」でいてくれた。
だから、こちらも最後まで「ただの常連客」でいたかった。
別れ際には、その人の人間性が表れる。
商売も、人間関係も同じなのかもしれない。
東京のお母さん、元気でね。
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