京都と聞けば、寺と抹茶と舞妓を思い浮かべるが、いま世界へ出ているのは伝統工芸だけではない。医療である。NISSHAは印刷で磨いた精密加工を医療機器へ、タカラバイオは遺伝子解析、サムコは半導体技術を医療材料へ、島津製作所は計測技術を創薬へ広げる。日本新薬は希少疾患薬に挑み、オムロンはAIによる心電図診断でインド市場を目指す。面白いのは、彼らが本業を捨てたのではなく、本業で鍛えた「細かく測る、正確につくる、品質を守る」という力を、人の命へ持ち込んでいることだ。人口が減る日本だけを見ていては、企業も技術も縮んでしまう。だから米国で研究し、ベトナムで生産し、インドやアフリカで新しい需要を探す。
これは単なる海外進出ではない。
日本の技術が必要とされる場所へ、自ら移動しているのである。
ただし、医療は売れればOKという商売ではない。買収先の技術を理解し、各国の制度や暮らしに合わせ、患者の安全に最後まで責任を負わなければならない。
京都企業の本当の輸出品は機械や薬ではない。
何十年も積み重ねた誤差を許さぬ執念である。静かな古都から世界の命を支える、派手ではないが、これこそ日本企業らしい反撃ではなかろうか。
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