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クレア|日常の違和感言語化係
@kureakurea01
日常の「ん?」を文学・物語・音楽・学び・漫画へ。仕事、人間関係、都市伝説、ニュース、投資、食に潜む、まだ名前のない違和感を拾い、日常と感情の翻訳やツッコミをする名もなき社説執筆者です。誰かが言葉にできなかった感情を、世界中にいる誰かの心に届く物語へ。あたしは日本も世界も大好きです。
加入 September 2023
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あたしが取材した国語教師は、一枚の古いレポートを机にしまっていた。大学時代、彼は文章を書くことが苦手だった。三週間かけてレポートを書いたが、教授から返ってきたのは可と書かれた成績表だけだった。どこが悪かったのか。どこか一行でも良かったのか。それさえ分からず、彼は小説家になる夢を諦めた。卒業から二十年後、その教授が亡くなった。遺品整理をしていた家族から、返却されなかったレポートが届いた。 余白は赤い文字で埋め尽くされていた。 「この視点は面白い」 「君にしか書けない記憶だ」 「続きを読みたい」 最後には、こう記されていた。 「評価は可。しかし、才能は評価の外にある」 教授は添削を終えた直後に倒れ、返せないまま入院していたのだ。 教師になった彼は、それから生徒の作文を一枚残らず返すようになった。赤点の作文にも、必ず良かった箇所を一つ書いた。 定年の日、不登校だった教え子から手紙が届いた。 「先生が『続きを読みたい』と書いてくれたので、私は自分の人生にも続きがあると思えました」 あたしは思う。 人は低い評価だけで夢を諦めるのではない。 自分の努力を、誰も見ていなかったと思ったときに諦めるのだ。 添削とは、間違いを直すことではない。 あなたを読んだという証拠を返すことである。 ※特定されないように、事実を大幅に変えてます。これあのことだよね?って言われても、人違いなのでご安心ください。
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