カルビーの白黒パッケージを縫って宇宙服を作りました。
作品タイトル
『銀色の21世紀へようこそ』
【作品解説(※長い)】
2026年も下半期を迎えましたが、今も世界情勢は混沌へと向かっています。
2月にアメリカが介入した中東問題により発生した資源不安は、日本の日常にも影響を与えました。
カルビーはインク節約のため白黒印刷のパッケージを採用し始めます。
まさにこの袋は2026年のカオスな時代を象徴する商品だと思います。
それとは逆に、アポロ計画以降もう一度人類を月へ送ろうというアルテミス計画の第二段階が成功し、人類の新たなる偉業へのバトンが繋がれた年でもあります。
この人類の愚かさと偉大さ、どちらも主導しているのが皮肉にも今年建国250周年を迎えたアメリカという国であり、アンビバレンスな気持ちにならざるを得ません。
この戦争と宇宙開発を取り巻く状況は、まさに米ソ宇宙開発競争を行っていた60年代とも共通する部分があると私は思います。
アポロ計画の前身であるマーキュリー計画の開始と同時期にNASAが発足され、ソ連との本格的な月面レースが開始されました。
そのマーキュリー計画でアメリカ人初の宇宙飛行士が誕生し、彼らが着ていた宇宙服も銀色のスーツに包まれていたのです。
この宇宙服は太陽光などの熱を反射するなど機能性で銀色なのですが、戦勝国として発展していく米国にとっては銀色=鉄やジュラルミンの色=テクノロジーによる明るい未来の色ともされていたのです。
だからこの銀色の宇宙服は、科学的側面とは別に、宇宙飛行士という「かっこいいヒーロー像」としての広告塔の役割もあったのです。
しかし、そんな宇宙開発競争を進めていく傍らで、アメリカはベトナム戦争も並行して行っていたり、公民権運動といった人種差別や貧困格差といった問題も抱えていた時代でもあるのです。
そのため、続くアポロ計画は「青天井の国家予算で宇宙に廃棄物する無駄な計画であり、そんな暇があれば飢えた国民の食糧に充てるべきだ」と散々言われてきました。
あの銀色に光るヒーロー像は、アメリカの矛盾そのものとも言えるのです。
そして2026年現在。
アルテミス計画は人類を再び月へと向かわせ、スターシップのような銀色の巨大ロケットは火星を目指しています。
一方で、同じ年に私たちの暮らしに現れた銀色は、遠い国の戦争によって生まれた白黒パッケージでした。
かつて未来への憧れを映していた銀色は、いまや希望だけでなく、不安や混沌までも映し出しています。
私は、この時代の象徴となったパッケージで、銀色の宇宙服を作ることで、「21世紀」という時代そのものを表現しました。
宇宙を目指すことも、争いを繰り返すことも、同じ人類の所業です。
この作品は、未来への憧れと現実の矛盾、その両方を抱えながら生きる私たちへのポートレートなのです。
(このパッケージは買いだめしたものではなく、少しずつ購入して制作しました。作品におけるイデオロギーの是非は、個人の感覚を尊重します。)
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