2026年6月18日夜に #
祝祝『the# compote』を観ました。会場はPaperbackスタジオ。
Playback→Pick→Play→Party Vol.1参加作品。
ネタバレがあります。
会場にはいると、私が観た今回のフェスティバルのなかでは一番の装飾が施されている。中央にテーブルとイス、そして柱のようにそのスペースを囲み彩る4本の吊るし物。上手と下手にはティーセットなデカンタなども見える。上演パンフレットは1枚のはがき。そこに綴られた文章を読みながら開演を待つ。魔女からのその手紙が地続きのように観る側を物語に誘い込む。
美しいメイドに案内されてその部屋を訪れた女流推理小説家。メイドは彼女に席をすすめると、いくつかの不思議な問いかけをする。最後に甘いものを食べたのは何時かとか、革製品はなにを持っているかとか。また爪の写真を撮らせてほしいとか。その微かな違和感にすっと取り込まれているとケーキを出され彼女の作品を愛でるその家の女主人が現れる。よく抑制された彼女の語り口に自然に聞き入る。作家は彼女の言葉に甘えて相談事をする。戸惑いながら少しずつその女性の言葉に浸されていく作家のすがたに観る側もからめとられていく。
そんな彼女を訝る作家の兄、それは観る側の心情でもあるのだけれど、女性は作家の問題を解決し、寄り添うようにも染めるようにも作家を自らの操り糸に繋げてしまう。
女性の抑制された語り口、その中での一瞬の激情で作家を支配する。砂糖で煮含められるように次第に浸されていく作家のありよう、それはとても静かで深いところで観る側をも縛る。遂には彼女にコンポートされた作家が兄の飲み物にシロップを注ぎ入れるラストに、開演前に読んだ作家あての手紙の最後の「魔女」の二文字を思い出す。そのまま終演。
そのシロップがいかなるものだったのかは語られない。ただ、その想像がそのまま作品への余韻となる。
俳優たちのお芝居の静かで深いテンションが出口に向かうなかでも残っている。終わってみればこの上もなく上質なホラーでありフェアリーテイル。久保磨介作劇の魔法に見事にはめられてしまった。
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compote#