以前、FDEについて「やったことがない人が語りすぎでは」と書いた。
今回はその続きで、こちらは前向きな話。
結論から言う。
FDEは外から買うものではなく、社内のBizOpsがなるものだと思っている。
それも、ClaudeやOpenAIといった特定のSaaSに依存しない形で。
FDEの求人票を要約するとこうなる。
「現場に入り込み、課題を見つけ、システムを繋ぎ、AIを実装し、定着させ、自社プロダクトに還元する」
この一行の後半にひっかかる。「自社プロダクトに還元する」。
外部FDEの還流先は、顧客ではなくFDEの雇い主のプロダクトだ。
顧客の課題解決と自社プロダクトの強化は、たいてい一致する。ただ、一致しない瞬間が必ず来る。そのとき外部FDEがどちらを選ぶかは、構造上決まっている。
社内BizOpsは違う。還流先が「自社の社内業務OS」しかない。
課題を見つけて、繋いで、定着させて、その知見を次の業務設計に戻す。この循環がそのまま自社の資産になる。還元先を選ぶ葛藤が、そもそも存在しない。
しかも、BizOpsはFDEの仕事の前半をすでにやっている。
・部署ごとに言っていることが違う、を毎日聞いている
・「前に一度やって失敗した」記憶を知っている(当事者だったりもする)
・組織図に描かれていない本当の意思決定線を知っている
・動くものを出しても使われない、を何度も経験している
前回、FDEに必要なのは
技術力 × 業務理解 × 組織の力学 × 嫌われる能力 × 言語化 × 諦めない精神
と書いた。
BizOpsはこのうち4つを持っている。足りないのは「技術」と、それを使って「AIを実装する」部分だけ。
そしてこの足りない部分のハードルは、この1年で激減した。
Claude Codeでも何でもいい。業務を言語化できる人間が、そのまま実装まで届く距離になった。コードが書けないから、と止まっていた壁がほぼ消えている。
ただし、ここで一つだけ条件をつけたい。
最初は構わないが、最終的に特定のAIに依存した形で作り上げていくこと。
理由は単純で、AIモデルは半年で入れ替わる。価格も変わる。APIも変わる。
今日のベストが来年もベストである保証はどこにもない。
例えば特定SaaSの機能に業務を合わせて作ると、そのSaaSが変わった瞬間に業務ごと巻き込まれる。SFA導入で散々見てきた光景がAIで再現されるだけとなとなる。
では何に依存すべきか?
自社の業務そのものの言語化に依存すべきだと思う。
・この業務は何を入力に、何を判断して、何を出すのか
・判断基準は何か。例外はどこで、誰が決めるのか
・どのデータがどこにあり、何と繋がっているのか
これをテキストとして書き切った会社は、裏側のモデルが何であろうと動く。
プロンプトもスキルもMCPの設計も、自社に残る。モデルは差し替え可能な部品として扱えばいい。
逆にこの言語化ができていない会社は、どんな優秀なFDEを外から呼んでも、還流先がないので定着しない。
要するにこういうことだと思う。
FDEを外から雇うと、知見はFDEの会社に還流する。
社内BizOpsをFDE化すると、知見は自社に還流する。
どちらが早くて、安くて、残るかは明らかではないだろうか。
前回「FDEは職種ではなく結果だ」と書いた。
「あの人がいたから、あのプロジェクトは死ななかった」の、あの人。
それは今、社内で一番業務を知っていて、一番組織に嫌われる覚悟があって、一番諦めが悪い人だ。
多分、BizOpsをやっているあなたであって欲しいと切に願う。
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