Register and share your invite link to earn from video plays and referrals.

桑原旅人
@KuwaharaTabito
大学講師、哲学と精神分析、博士(学術、東京大学)、投資家、経営者。『汝の「欲望」に従って行為せよ──ジャック・ラカンの倫理学』(ナカニシヤ出版)  ご連絡はDM、またはメールからtabitokuwahara@gmail.com
Joined December 2022
1.4K Following    5.1K Followers
板書をノートに転記させる講義をする大学教員は、学生の学びを阻害している。複数の研究結果がそのことを示している。以下、AIを利用した調査のまとめ。 「教員が板書し、学生がそれをノートに写すこと自体を学習効果の中心に据える授業」は、現在の学習科学から見ると合理性が低いと判断します。 理由はかなり明確です。 「手で書けば学習効果が上がる」という強い根拠がない。 2022年の系統的レビュー・メタ分析では、手書きとデジタル筆記を統制条件で比較すると、学業成績に有意な差は認められませんでした。かつて有名だった「PCより手書きが優れる」という2014年研究も、事前登録された直接追試では再現されていません。重要なのは「書くこと」ではなく「頭の中で加工すること」。 要約する、概念同士を関連づける、自分の言葉に変換するといったgenerative note-takingには意味があります。しかし、板書をそのまま転記する verbatim copying はこれと逆です。2023年の大学生対象研究では、手書き条件で逐語的コピーが多いほど学習成績が低いという関連が出ています。 板書を写させると「理解」と「転記」がワーキングメモリを奪い合う。これは特に数学などで問題になります。学生は板書を書き写すことに追われ、教員が口頭で説明している「なぜそうなるか」を聞き逃す。大学数学の研究でも、学生自身が「書き写しながら考えるのは難しい」と報告し、板書外の口頭説明がほとんどノートに残らないことが確認されています。 「たくさん書いた=よく学んだ」でもない。ノートの語数そのものより、重要箇所を選択したり構造化したりすることの方が学習成果に関係します。つまり、見る → 写す → また見る → 写すという行為を90分繰り返すこと自体には、大きな教育的価値を期待できません。 授業時間を使うなら、もっと効果の高い活動がある。 STEMに限定されるという留保は必要ですが、225研究のメタ分析では、従来型講義よりactive learningの方が試験成績を平均約0.47標準偏差改善し、伝統的講義では不合格になる可能性も高くなりました。少なくとも「対面時間を何に使うか」という機会費用まで考えれば、単純な板書転記はかなり不利です。 ここで重要なのは、「板書そのものが悪い」のではないことです。たとえば数学の証明を一行ずつ展開する、哲学の議論の構造をその場で図式化する、学生の発言を拾いながら概念図を作る、といった板書には十分合理性があります。 問題は、 教員が情報を書く → 学生がそれを写す → 写したから学習したことになる という教育モデルです。 むしろ科学的に合理的なのは、 必要な資料は事前・事後に配布する → 学生は全部写さなくてよい → 授業では問い、説明、比較、推論に集中する → ノートは「転記」ではなく自分なりの要約・関係づけに使わせる という設計でしょう。2026年の最新研究でも、単なるノート取りではなく、深いノート取りの仕方を明示的に教えることが理解を改善すると報告されています。 したがって二択なら、私はかなり明確に、 「板書をノートに取らせること」を教育方法として積極的に正当化するのは、科学的には不合理。 と判定します。 ただし、これは**「ノートを取るな」ではなく「転記を学習だと思うな」**という結論です。ここを区別するのが一番重要です。」
Show more