創業期の会社に入るとき、何番目の社員かで、5年後の景色がまるで変わる。
80社以上に投資してきて、同じ会社に別の時期に入った人たちのその後を、何度も見てきた。
10人未満のときに入った人は、職種の名前があとから決まる。営業として入ったのに、気づけば採用も広報も見ている。範囲が決まっていないから、できることが勝手に増える。会社が伸びれば、その人はそのまま部門の責任者になる。決まっていなかったことが、そのまま席になる。
50人を超えたころに入った人は、職種が決まっている。求人票に書かれた仕事があり、上司がいて、評価の基準がある。働きやすい。ただし、範囲の外に出る理由がない。
どちらが良いという話ではない。5年後に手元に残るものが違う、という話だ。前者に残るのは、何もない状態から作った経験になる。後者に残るのは、整った環境で成果を出した経験になる。転職市場で値段がつきやすいのは、いまのところ前者だ。
そして残酷なことに、この差は入るタイミングでほぼ決まってしまう。実力ではない。会社の人数だ。
いま検討している会社が何人かを、必ず確認してほしい。10人と50人と200人では、まったく違う仕事の話をしている。
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日本の平均年収は478万円。この数字を自分と比べるのは、あまり意味がない。
国税庁の民間給与実態統計調査で、1年を通じて働いた人の平均給与は478万円だった。4年続けて増えていて、過去最高になっている。
ここまではニュースで流れるとおりだ。問題は、この数字の使われ方のほうにある。
478万円は、正社員も非正規も、全業種を、20代から60代までまとめた平均だ。男女で分けると、男性が587万円、女性が333万円になる。業種で分けても、年代で分けても、この数字から大きく離れる。つまり、478万円と一致する人はほとんどいない。
それでも人はこの数字と自分を比べる。上回っていれば安心し、下回っていれば焦る。どちらも、比べる相手を間違えているだけだ。
意味のある比較はひとつしかない。同じ職種で、同じくらいの経験年数の人が、外でいくらもらっているか。これは求人票を10件も見れば分かる。全国平均より、はるかに自分に関係がある。
平均と比べて安心するのがいちばん危ない。平均を上回っていても、同じ職種の相場を大きく下回っていることは普通に起きる。会社は、あなたが相場を知らないことを前提に値付けをしている。
あなたの職種の求人を、今日10件だけ開いてみてほしい。比べるべき数字は、そこに書いてある。
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育休中の手取りが10割になる制度を、対象の人の多くが知らないまま逃している。
2025年4月に出生後休業支援給付金という仕組みが始まった。夫婦がともに育休を取った場合、最大28日間、給付が上乗せされる。従来の育児休業給付67%に13%が加算されて80%になり、育休中は社会保険料が免除され所得税もかからないため、手取りでは働いていたときと同じくらいになる。
条件がある。父親は子の出生後8週間以内に14日以上、母親は産後休業のあと8週間以内に14日以上の育休を取ること。夫婦のどちらか一方だけでは、原則として対象にならない。
つまり、片方が取らないと、もう片方の手取りも減る。ここが従来の制度と決定的に違うところで、家庭の中で相談しないと最大化できない設計になっている。
そして会社は、この計算を教えてくれない。制度としての育休の説明はしても、世帯の手取りがいくらになるかまでは踏み込まない。踏み込む義理がないからだ。
これから子どもが生まれる予定のある人は、パートナーと一度だけ数字を並べてみてほしい。二人とも14日取るのか、片方だけにするのか。金額が違うと分かってから決めるのと、知らずに決めるのとでは、あとの納得がまるで違う。
制度は、知っている人のところにだけ届く。それは残酷だが、いまのところ変わらない。
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上場する会社と、しない会社。分かれ目は事業の良し悪しではないことが多い。
178社以上の上場に関わってきて、途中で止まる会社に共通するものがある。管理部門だ。
事業が伸びている会社はたくさんある。売上も利益も出ている。それでも上場の準備に入ると、そこから2年も3年も進まない。理由はほとんどの場合、経理と労務と内部統制のところで詰まっている。数字を締めるのに時間がかかる、規程が実態と合っていない、勤怠の管理が甘い。事業とは何の関係もないところで止まる。
だからスタートアップの求人で、経理や人事や法務の募集が急に増えている会社があったら、それは準備が始まった合図だ。営業と開発ばかり募集している会社は、まだその手前にいる。
働く側にとって面白いのは、この時期の管理部門が、人生でいちばん市場価値が上がるポジションのひとつになることだ。上場を一度経験した経理や人事は、その後どこへ行っても足りない側の人材になる。派手ではない。ただ、確実に効く。
人気があるのは事業を作る側だ。だからそちらは競争が激しい。誰もやりたがらないところに、価値がある席が残っていることが多い。
気になっている会社の採用ページで、管理部門の募集が何職種あるか数えてみてほしい。事業の説明より、そこにその会社の現在地が出ている。
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フリーランスへの発注で、いちばん多い違反は値切りではない。書かないことだ。
フリーランス新法が施行されてから、公正取引委員会による勧告と指導が445件に達した。内訳は勧告が4件、指導が441件。今年の6月にはKADOKAWAが雑誌の製作委託をめぐって勧告を受けている。
違反の中身で最も多いのは、取引条件を書面で明示していないことだった。次に支払いの遅れが続く。金額を不当に下げるといった分かりやすい話より、書かないことのほうが圧倒的に多い。
ここに構造がある。書かない発注は、発注する側にとって都合がいい。範囲が曖昧なら、後から作業を足せる。納期が曖昧なら、後から前倒しできる。悪意がなくても、書かないほうが楽だから書かない。そして受ける側は、次の仕事が欲しいので言い出せない。
法律は、この非対称を正面から崩しにきた。業務の内容、報酬額、支払期日を書面か電子データで示すことが義務になっている。
副業や業務委託で仕事を受けている人にとって、これは交渉の道具になる。条件を書いてくださいと言うのは、わがままではなく、相手の義務の履行を求めているだけだ。
言いにくいと感じるなら、法律で決まっているので、と一言添えればいい。それで態度が変わる発注者とは、そもそも長く付き合えない。
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働くと年金が減る。この仕組みが、来年4月にかなり緩む。
在職老齢年金という制度がある。60歳以降に働きながら厚生年金を受け取ると、給与と年金の合計が一定額を超えた分の半分が止められる。この基準額が、月51万円から引き上げられる。法律が成立した時点の額面は62万円で、その後の賃金の変動を反映して、来年度に実際に適用されるのは65万円になる。
数字だけ見ると高齢者の話に見える。実際には、いま40代50代の人の設計に効く。
これまでの前提はこうだった。60歳を過ぎたら、年金が止まらない範囲に給与を抑える。だから役職を降り、時間を減らし、責任を外してもらう。合理的な判断だが、その結果として経験のある人が現場から抜けていた。
新しい前提では、月65万円まで調整の必要がない。つまり、60代でも現役と同じ働き方を続ける選択肢が現実的になる。
分かれ目は、そのとき渡せる仕事があるかどうかだ。60代で必要とされる人と、そうでない人の差は、体力でも人柄でもない。若い人が持っていない判断の経験を、言葉にして渡せるかどうかで決まる。
いま自分がやっている仕事のうち、20年後も価値が残るものはどれか。残るのは、たいてい手順ではなく、判断の理由のほうだ。
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管理職になりたい正社員が17%。過去最低です。
責任だけ増えて割増は薄い。逃げるのは合理的な判断です。
ただしガートナーは、2026年までに20%の企業がAIで中間管理職の半分以上を廃止すると予測している。イスが半分になれば、残った一脚の値段は上がります。
AIを10体動かす仕事は、人を10人動かした経験のある人にしか回ってきません。
専門職ルートも安全ではない。スタンフォードの最新研究では、AI曝露度の高い職種の22〜25歳の雇用が本来の水準から19%下振れしています。ハシゴは下から折れ始めている。
あなたが避けているその罰ゲーム、まだ誰も値札を見ていない資産では。
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面接で辞めた理由を聞かれたとき、答えが二種類に分かれる。
ひとつは、状況の説明で終わる人。上司と合わなかった、評価が不公平だった、会社の方針が変わった。事実としては正しい。ただ、聞いている側には、次も同じことが起きたら辞めるのだろうな、としか伝わらない。
もうひとつは、自分が何を選び損ねたかまで話せる人。あのとき自分は給料と裁量を比べて給料を取った、そこを読み違えた、だから今回は裁量のほうを優先している。この形で話せる人は、失敗の経歴ごと信用される。
27年この仕事をしていて、この差が採否を分ける場面を何度も見てきた。前者は経験の量が同じでも通らない。後者は経歴に空白があっても通る。
比喩で言えば、前者は天気の話をしている。後者は航路の話をしている。天気は自分では変えられないが、航路は自分で決めたものだ。面接官が知りたいのは、あなたが航路をどう決める人かのほうになる。
これは面接のテクニックの話ではない。自分の選択を言語化できていない人は、次も同じ基準で選んでしまう。だから同じ理由でまた辞める。言語化は、面接のためではなく、繰り返さないために要る。
前の会社を辞めたとき、自分は何と何を比べて、どちらを取ったのか。一度、紙に書いてみてほしい。
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民間企業で働く障害のある人が、70万人を超えた。
厚生労働省の集計で、雇用されている障害者は70万4,610人。前の年より4.0%増えて過去最高になった。23年続けて増えている。実雇用率は2.41%だ。
内訳の伸び方に差がある。身体障害のある人が1.3%増、知的障害のある人が2.8%増なのに対し、精神障害のある人は11.8%増えている。ここだけ二桁だ。
法定雇用率も上がる。いまの2.5%から、2026年7月に2.7%になる。対象となる会社の規模も従業員37.5人以上まで広がる。
これは制度の話に見えて、職場の話だ。あなたの職場に、配慮を必要とする同僚が増える。そして最も増えているのは、外から見て分かりにくい障害のある人になる。
ここで効いてくるのが、仕事の渡し方だ。口頭で一度に多くを伝える職場は、うまくいかなくなる。手順が文章になっていて、優先順位が明示されていて、確認の場が決まっている職場は、そのまま回る。
不思議なことに、この条件は新人にも、時短勤務の人にも、外国籍の同僚にも同じように効く。配慮のための設計は、結局のところ、全員のための設計になる。
自分の仕事の中で、口頭でしか伝えていない手順がいくつあるか。そこが、これから一番早く問題になる場所だ。
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ベンチャーの作法多くの方に読んでいただいて感謝感激です。研修で各社で使われていたり、個人の方が口コミしてくれているおかげで広がっています。経営者の方がが伝えるべきことも社員の方に伝えられない時代。言語化しています。個人の方が知らない経営者の本音が書いてあります。仕事の結果を出して、会社から評価されたい方向け。
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【祝出版】『ベンチャーの作法』。ベンチャーで活躍するための本。25年のベンチャー人生の知見を放出。経営者や投資家の視点から見たリアルな仕事術が。最近「社員の方には厳しく言えないんだよな。」そんな経営者の方も多いと聞いています。でも私は大事なことを伝えたいんです。
速さと成果を両取りするための具体的な方法、そして時には「厳しい現実」をも直視する必要性を書きました。
ベンチャー業界で働く皆さんや経営者にとって、この本はが指針や道標になれば嬉しいです。11月27日の発売が待ち遠しい。なんとXからダイヤモンドの石井さんからご連絡をいただき出版になりました!
ベンチャーの作法 ー「結果がすべて」の世界で速さと成果を両取りする仕事術 単行本(ソフトカバー) 2024/11/27
@kazuhoi1 ありがとうございます!
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ベンチャーの作法 ー「結果がすべて」の世界で速さと成果を両取りする仕事術 単行本(ソフトカバー) – 2024/11/27 ダイヤモンド社
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@kazuhoi1 ありがとうございます!
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バス運転手さんにご質問です。他業界から転職した方がいらっしゃいましたら、どんなところが良かったか、条件、働き方等教えてもらえると嬉しいです。
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退勤から出勤まで何時間空けるかを決めている会社は、100社のうち7社しかない。
勤務間インターバルという制度がある。仕事を終えてから次に働き始めるまで、一定の時間を空けることを就業規則で決めておくものだ。厚生労働省の調査で、導入している企業は6.9%だった。政府は2028年までに15%以上にする目標を掲げているが、まだ半分にも届いていない。
入れていない会社は、短期的にいちばん正しい。夜遅くまで働かせて、翌朝も定時に出させれば、その分だけ仕事は進む。人を増やさずに量をこなせる。今期の数字は、確実に良くなる。
崩れ方も決まっている。まず、いちばん責任感の強い人から壊れる。次に、その人が抜けた分を残った人が持ち、連鎖する。そして最後に、辞めた人の穴を採用で埋めようとして、同じ働き方をさせられると分かった候補者に断られる。
働く側にとって、この制度の有無は珍しく調べやすい指標だ。就業規則に書いてあるか、求人票に記載があるか。書いてある会社は、まだ7%しかない。だから書いてある時点で、その会社は人の使い方を考えている側にいる。
制度の有無で会社を選べとまでは言わない。ただ、ないのが当たり前だと思っている人は、あるという選択肢を知らないだけだ。
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介護ドライバーを今やっている方いませんか?インタビューさせれていただきたく。新規事業考えている関係で。
働いている人の7人に1人は、65歳以上だ。定年で人生が区切られるという前提を、私はもう使っていない。
総務省の集計で、65歳以上の就業者は930万人になった。21年続けて増えている。就業者全体に占める割合は13.7%で、こちらも過去最高だ。年代別に見ると、65歳から69歳の就業率は53.6%。半分以上が働いている。70歳から74歳でも35.1%になる。
産業別で目を引くのは医療と福祉で、115万人。10年前のおよそ2.3倍だ。
この数字を、高齢者が働かされているという話として読むこともできる。ただ、キャリアの設計という観点では別の読み方になる。
40代の人が今から考えるべきなのは、60歳で終わる想定ではなく、あと25年働く想定だ。25年あれば、専門を作り直す時間がある。いま身につけているものが10年後に価値を失っても、次を作る余地がある。逆に、あと10年しかないと思って我慢を選ぶと、その後の15年が空白になる。
長く働く時代の怖さは、体力ではない。同じことを40年やることのほうだ。
あなたが働く年数は、いま何年残っていますか。
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面談で、この人はどこで育ったのだろうと思うことがある。
話の組み立てが速い。事実と意見を分けて話す。答えられないことを、答えられないと言える。経歴を見ると、名前を聞いてもすぐには分からない会社にいたりする。そして同じ会社の出身者に、あとから何人も会う。
1万2000件以上のキャリア相談を受けてきて、はっきり言えることがある。最初に入った会社の知名度と、その人の伸び方は、ほとんど関係がない。関係があるのは、その会社が新人に何をさせたかだ。
早い段階で判断を任せた会社の出身者は、どこへ行っても判断ができる。逆に、大きくて有名でも、若手に決めさせない会社の出身者は、10年経っても確認を取ることから始める。
ここで悩ましいのは、就職や転職の時点でこれを見抜くのが難しいことだ。研修が充実しています、という説明はどの会社もする。
だから聞き方を変えるといい。入社1年目の人が、自分で決めていいことは何ですか。この質問に具体例が返ってくる会社と、制度の話が返ってくる会社がある。差はそこに出る。
有名な会社に入った人が伸びるのではない。任された人が伸びる。順番を間違えると、10年が変わる。
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転職で年収が上がるかどうかは、実力より「どの船に乗るか」で8割決まります。
1万2000件の面談で見てきた結論です。同じ能力の人が、伸びている市場に移った途端に評価が跳ねる。沈む船で頑張る人ほど、努力が報われない。
まず市場を選ぶ。スキルの話はその後です。
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来年10月から、週20時間以上働いていれば、月収がいくらであっても社会保険に入ることになる。106万円の壁は、そこで消える。
2026年10月に、社会保険の加入要件から賃金の条件が外れる。これまでは月8.8万円、年収でいえば106万円がひとつの線だった。この線がなくなり、週の労働時間だけで決まるようになる。
同時に、対象になる会社の規模も下がる。従業員101人以上だったものが51人以上になり、新たにおよそ65万人が加入する見込みだ。そこで止まらない。2027年10月に36人以上、2029年10月に21人以上、2032年10月に11人以上と下がり、2035年10月には規模の条件そのものがなくなる。
手取りは、いったん減る。ここは正直に書いておきたい。
ただ、減った分がどこに行くかは見ておいたほうがいい。厚生年金に入れば将来の年金が増え、傷病手当金が使えるようになり、失業したときの給付も変わる。壁の内側にいた人が失っていたのは、この3つだった。
働き方を時間で調整してきた人にとっては、前提が変わる話になる。年収を抑える意味が薄くなり、時間を抑える意味だけが残る。
自分の週の労働時間が何時間か、いま即答できるだろうか。来年からは、その数字があなたの手取りと将来の年金の両方を決める。
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2年前に250人だった会社が、530人になっている。
脱炭素スタートアップのアスエネが、135億円を調達した。ブラックロック系のファンドが日本のスタートアップに初めて出資したことでも話題になった。ただ、私が最初に見たのは金額ではなく、従業員数の推移の方だ。
2年で280人増えた。単純に計算すれば、この会社では「入社2年未満」が過半数になる。新入りが多数派で、古株が少数派。急成長の会社とは、そういう場所だ。
憧れて飛び込む人は多い。知っておいてほしいのは、伸びている会社では、去年の正解が今年はもう古いということだ。研修は整いきらない。先輩には面倒を見る余裕がない。あるのは、埋まっていない仕事だけ。そして要求の水準は、会社の成長率と一緒に上がっていく。
こういう場所で伸びる人は、決まっている。整っていないことを、不満ではなく材料として扱える人だ。前例がないなら、自分の作ったやり方がそのまま会社の標準になる。整った大企業なら10年待つ立場に、順番待ちなしで手が届く。逆に、仕組みに守られて働きたい人には、つらい場所になる。
どちらも正しい働き方だ。ただ、入ってから気づくと、高くつく違いではある。
530人のオフィスで、2年前のこの会社を知っている人は、もう半分もいない。
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